読書感想:怪物中毒3



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読書感想:怪物中毒2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、あらかじめお伝えさせていただくが、怪物中毒、仮面舞踏街という究極の自由がある、混沌の街での物語は今巻にて終幕、である。零士や月達、只人としての自由を求める者、蛍や命たち、巻き込まれた者達のお話は今巻にて見納めである。では今巻では何が語られるのか。それは勿論、様々な真実。そして前巻、ひいては一巻から続く事件の黒幕との一先ずの決着である。

 

 

「そしてもうひとつ、とても残念なお知らせだ」

 

前巻の騒動から一か月、事件の後始末と犯人を追う作業は、遺された爪痕と興奮が起こした様々なトラブルによりなかなか進まず。その間に事件の捜査が本部預かりとなってしまい、零士たちの手の届かぬ範囲にいってしまい。命が憤るも何も出来ず、一先ず街の外でご飯を食べるべく、四人は行動を始める。

 

「どうしてここにいるのかな、兄さん?」

 

しかしすぐに、問題が始まる。途中で出会った、この街だからこそ生まれた子供達。その親代わりであるもう長くない大人達。 魔剤に依存したからこそそうなった二人を止めるべく、命の願いで二人を追いかけたら。隠された金を巡る争乱に巻き込まれ、更には別行動をしていた月と蛍が、黒幕であった投票の魔術師、果心とその仲間である童女に襲われ。そこへ救援に現れた楢崎は、果心の事を兄さんと呼ぶ。

 

 

それは一体、どういう事なのか。 そこに秘められていたのは、本当の意味の裏の世界に通じていた楢崎の事情。彼だけが知る、BT本社が出来た理由と、この世界が出来てしまった本当の理由。 否応なしに戦いが起き、現代の魔術も用いる果心に振り回されるも、童女の正体を法則から看破し。何とか撃退には成功する。

 

 

けれど一難去ってまた一難。 何故かBT本社のCEOから蛍が呼び出され。警備部の者達と急ぎ向かう中。果心の手により童女が変質させられた現代の怪異が、分裂して大軍で襲い来る。

 

「やったろうぜ、ヒーローってやつを!」

 

なればやるべきは、反撃の為にやるべきは一つ。ヒーローなんかじゃなく、ブラック会社の社員だけど。それでも友を進ませるために。 その道を護るべく、零士、月、そして人獣へと変じた命が三人で。無数の怪異の前に立ち塞がり、躍動する。

 

『あるわ。この街よ』

 

彼らに守られ、CEOと対面した蛍が望んだものとは。その果てに待っている、その先に続く日常とは。それは是非、皆様の芽で見届けてみてほしい。

 

シリーズファンの皆様は是非。 きっと貴方も満足できるはずである。

 

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