前巻感想はこちら↓
読書感想：仕事帰り、独身の美人上司に頼まれて - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、春彦と結子、肉体関係で繋がるオフィスラブ、という大人らしいほろ苦さと、淫靡さも感じさせる関係が前巻で始まった訳であるが、前巻の最後、春彦の中で関係解消の一因となる、本気の恋心が芽生えたのは前巻を読まれた読者様であればご存じであろう。では今巻、その思いを抱えた上で二人の関係はどう発展していくのであろうか。早速それを見届けていきたい。
と、いうのもあるが。先に画面の前の読者の皆様も恐らくお察しであろう事を話しておきたい。春彦と結子、この関係は職場には当然秘密である。それが一つ、波乱の火種になっていくのが今巻なのだ。
「私が呼び出してるのに、ロクなもてなしもせずに帰しちゃって」
高名な映画監督の出した自叙伝的な本の企画が没になったり、という事もある中、今日も二人の関係は相変わらずで。だけど、精液の検査をしてみたり、結子が春彦から誘われない事を不満に想い、下着を買いに行ったり。だけどお互いの関係は、他に何か先約があればそちら優先。お互い何方かに他に大切な人が出来ても、解消。その危機が突然訪れる。同僚である轡により仕向けられた、春彦に好意を抱く同期、鹿又との二人きりの飲み会。その最後、彼女にホテルに誘われるも、結子の事を思って断り。しかし運悪く、その現場を結子に目撃されてしまったのである。
「すごく綺麗だし、魅力的で、素敵な女性だと思ってます」
すれ違う二人、倉庫での不意の密着。その中、春彦が察した結子の体調不良。急いで彼女の看病に向かい、不器用ながらも頑張って看病し。拗れも直って、お礼は何かいいか聞いた結子に、春彦は普通のデートをしよう、と提案する。
爬虫類を見たり、ゲーセンに行ったり。何気なく繰り広げられる、二人のデート。その最中で明かされるのは、結子の離婚歴の真相。 価値観の古い母親の考えでお見合いし、旦那とは考え方の違いですれ違ってしまった、という事。 その真実を知り、それでも寄り添おうとし。その最中、不意に飛び込んでくるのは前述した高名な映画監督の突然の訃報。 驚き悼む春彦の隣、結子は職業病と言わんばかりに金儲けの算段を立て、その死を過去作の販売数増加につなげ。 しかしその心は、人の死も利用する、と痛み傷つくのだ。
「バカなのは、私も同じか・・・・・・」
そんな自分にも、春彦は馬鹿みたいに寄り添ってくれる。全部受け止めてくれる。彼の気持ちに気付いてはいるし、まだ隠している事もあるけれど。それでも少しずつ、結子の中でも何かが変わっていく。縋りついていくのだ。
より煙たさが深まる中、恋も深まる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
