読書感想:最強無名の剣聖王1 ~没落した子孫に転生した四百年前の英雄、未来でも無双して王座を奪還する~

 

 さて、エクスカリバー、と書いてfate的に書くと様々な漢字の読み仮名が付くと思われるが、実際のアーサー王伝説、というものは調べてみると意外と面白かったりする。そんな古典を楽しむのも時には良い。古来よりそう言った作品は、人々の心を魅了してきた、と言っても過言ではない。

 

 

「ここは未来の世界―――なのか?」

 

かつて、「聖杯大戦」と呼ばれる星の支配権を賭けた人類と魔族の総力戦が起きた、とある異世界。その最終局面、母なる星の上を離れ月面上でぶつかり合っていたのは、人類の最高戦力であるキャメロット王であり神聖円卓騎士団の総騎士団長であるアーサーと、魔族の首領たる「魔法使い」、マーリン。しかしその戦いは唐突に終わりを告げる。必殺技の激突の中顕現した聖杯、発生した時空のひずみ。その中に巻き込まれたアーサーが次の瞬間目覚めた時。世界は様変わりしていた。とりあえず自分の目の前にいたオークをぶちのめし、空の星を見上げ自分の推測と掛け合わせ。今、この世界は四百年後の世界である、という一先ずの推測を立て。感知した覚えのある魔力、それを辿って遠く離れた先にあるマビノキオン剣聖学院を訪ね。 女子寮に押し入り、サヤ(表紙左)という少女の元を訪れる。

 

「せっかくの再会ですもの」

 

 彼女の正体、それはアーサー時代の既知の相手である魔女、モルガン。だが彼女は言う。この世界、どうも歴史が改変されているらしい、という事。この世界では、アーサー、モルガン、マーリンの三人の事が歴史から消去されており。一先ずどうする事も出来ず、元の世界に戻る手立てもなく。だがマーリンがいつか現れる、という予感の元。アーサーは偶々、この学園の一般生徒であったジン(表紙右)として、力を取り戻すためにこの学園に通う事に決める。

 

彼はこの世界においては、英雄の子孫であっても、平民。騎士ですらない。故に侮られてしまう。 だが、平和ボケしたこの世界では、今の彼の力は百分の一くらいしか出せぬが、少なくとも騎士見習の誰よりも強かった。侮って挑んでくる生徒達を次々叩き伏せ、歪められた歴史に疑問を持つ少女、フランソワーズとも仲良くなり。 モルガンの手も借りて鍛錬に励み、力を取り戻すべく努力する。

 

「いずれお話する機会もございましょう」

 

その最中、暗躍の手を伸ばしてくる組織がある。その名も「魔法使いの夜会」。ジンの事を知っているらしい反応を見せる使徒は、生徒達を攫い。その使徒がフランソワーズと為した会話の中、かつてマーリンがやりかけた夢物語の一端を垣間見るのである。

 

中々に痛快、熱さがある今作品。熱いファンタジーが好きな読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。