読書感想:転生王女と天才令嬢の魔法革命7

 

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読書感想:転生王女と天才令嬢の魔法革命6 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でアニスがドラゴンの力を完全に取り込んだ事で、人でありながらドラゴンでもある、という存在へと変わり。ユフィに寿命で置いて行かれる、という問題に関しては解決を迎えた訳であるが。例え永遠の命を得たとしても、永久に統治の座についてはいけないし、魔学のトップにいつまでもいるわけにはいかない。その行いは必ず組織にとっての毒となり、いずれ取り返しのつかぬ事態を引き起こすのだから。

 

 

ならば、どうするべきか。ずっとトップに立ってはいけぬ、ならば自分達がいつか退いた時、自分達が居なくても世界は変わらないように、と。そう進んでいけるように準備をしていかねばならず、それまでに魔学も目的を果たして研究を完成させねばならぬのだ。

 

「あの事件の後、随分と過保護になったものね」

 

ライラナとの激突から早くも一年。人外化したアニスの体調が落ち着き、精神的に不安定になっていたユフィも何とか落ち着いて。まだヴァンパイアの存在を明かすわけにもいかぬので、一先ずアルガルドを恩赦で辺境の開拓を命じる、という名目で隠れ蓑にしながら。 そろそろ新たな始まりを、という事で魔学の発展の方向を考えねばいけなくなる。

 

しかし、旧来の精霊信仰との折衝、ひいては信仰を重んじる者との軋轢を避ける為にも、王都に魔学研究の拠点を作るわけにもいかず。そこで持ち上がったのは、研究用の都市を作ってしまおうと言う計画。公共事業としてスラム街の者達にも仕事を与えるという一石二鳥、だがまずは場所の選定から。 専属の騎士団も与えられたアニスは、候補地として王都と西を繋ぐ中継地となれる場所を見つけ。大きな川があるから、という今まで避けられてきた理由にも、魔法以外にも頼れる力を見つけるという方向性で納得させ。ユフィと一旦別れ、部下を引き連れ開拓へ向かう。

 

皆で意見を出し合って、求めていくのはこの国で、この世界で犠牲になっていた者達を助けられる場所。その夢を実現する為、皆の意見を纏めたらどんどん奇天烈な方向性へと突き進んで。一先ずは実現しよう、とトライしてみる事となって。

 

「理由が必要なら作ればいいんだ」

 

更には無属性の魔法から、魔法の前提を覆す新たな仮説を導き出したりしながら。責任者となった事で、立場の変遷に飲み込まれるアニスは、戦いの中で自分の中に足りなかったものを見出す。 これからはより、見られていく。そこに向け動かねばいけぬ理由が必要なら、自分で作ればいい、という理由を。

 

新たな部が始まり、新たな面白さが始まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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