読書感想:ユア・フォルマ VI 電索官エチカと破滅の盟約

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ユア・フォルマ V 電索官エチカと閉ざされた研究都市 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、先日この作品のアニメ化が発表されたのは記憶に新しいが、果たしてこの作品、どこまでどうアニメ化するのだろうか? 事件として一つ一つが独立している訳ではなく、全てが結果的に一つに繋がっているので、中途半端なクールでは途中で途切れてしまうと思うのだが。 という訳で、画面の前の読者の皆様は何となくお察しであろう。今までエチカとハロルドが捜査してきた数々の事件、それは糸を引く黒幕の手により、一繋がりになっている、という事は。 その糸を引く相手、通称を「同盟」。その同盟の魔の手が何処まで広がっているのか、が明かされるのが今巻なのだ。

 

 

 

そんな強大な敵が現れたのなら、全員で一致団結、一丸となって捜査に当たるしかない。しかし前巻の最後、エチカとハロルドの絆は決定的に拗れてしまった。その状態で元通りにならぬままに突き進まなくていけなくなるのだ。

 

『だって面白いからね。そもそも不具合なんてないのに、仮病を使うなんて』

 

強引な捜査の責任を取りエチカが謹慎期間となって、ビガやフォーキンに誘われ少しだけ落ち着いた時間を過ごす裏、ハロルドは敢えてアミクスらしく振る舞い仮病を使い、わざと自分のパフォーマンスを落として。結果的に補助官から外れ捜査補佐に回る中。前巻の騒動から絞り込まれた、六人の「同盟」出資者らしい人物を捜査する為、急遽エチカも捜査に復帰する。

 

しかし、ビガの故郷にあるホテルに滞在していた容疑者の一人は、重い風邪の症状で死んでおり、更には六人の容疑者全員が急死し。更には検体を輸送するドローンが何者かの妨害に遭い、何とか届けられた検体から発見されたのは何種類ものウイルスを混合した、殺人ウイルス。

 

最早手掛かりは途切れたように見える中、アメリカの捜査局から齎された、テロ組織の関与の情報。発展途上国を支配するその組織へ接近する為、NGOの職員に混じり潜入捜査に移る。

 

だが、ここからが怒涛で絶望なのだ。 あっけなく偽装は見破られ、テロ組織に襲撃され。テロ組織のボスから要求されたのは、エチカの父親が遺したもの。その場は横入により収まり、大きな手掛かりらしきものを手に入れる中。それがまさかの電子犯罪捜査局の備品であり。エチカが本格的な謹慎を強いられる中、残ったフォーキンとハロルドは衝撃の事実に辿り着く。

 

それは、「同盟」の根の深さ。確かに相当追い込んではいるけれど、各国の支局にその内通者は潜んでいるという事。 最早、この捜査局の人間は誰も信用がならぬ。会議に潜入し分かったのは衝撃的な事実。全て、「同盟」の掌の上で踊らされていただけ、という事実。

 

「ですからあなたも、私の努力を無駄にしないで下さい。今度こそ尊重すると約束して欲しい」

 

その事実に打ちのめされ、しかし「同盟」の一手は詰められ。エチカやハロルドたちは今度こそバラバラにされてしまう。

 

衝撃と慟哭、絶望の今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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