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読書感想:ユア・フォルマ II 電索官エチカと女王の三つ子 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、この作品の世界観は、この巻の感想を開淹れおられる読者様にはもう説明不要であると思われるし、この世界の便利さ、というのはもうご存じであろう。しかし、便利なのは本当に良い事なのだろうか。機械に助けられることが更に拡大し、更に頼るようになっていくのなら。それは、人間としての堕落、機械による支配へと繋がってしまうのではないだろうか。
前巻の事件の後、心をさらりと読んでくるハロルドから自らの心を隠す為、ビガにお願いし非合法のカートリッジを仕入れ使う事で、ポーカーフェイスが上手くなっていくエチカ。
そんな中、電子犯罪捜査局の捜査機密が流出するという非常事態が巻き起こってしまう。その関係者として疑われるのは「E」とだけ名乗る、巨大匿名掲示板の住人。陰謀論が現実味を伴う事で、今や数千万人の信者を抱える謎の人物。その事件はとりあえず脇に置いておいて、今捜査中の事件に戻ろうとする中。エチカは急な体調不良に見舞われ、情報処理能力が一般人並みまで低下するという非常事態に見舞われてしまう。
能力の低下、それ即ち電索官としては致命的な事態。やむなくコンビを解消し、ハロルドは新たな相棒、ライザと共にフランスへ向かい、エチカは捜査支援課の一員となり、呑気な同僚たちと共に事件の捜査へ当たる事となってしまう。
それぞれの場所へ別れ、新たな仲間と共に捜査へ励む。それはいつも通り職務をこなすだけ、変わらぬ筈だった。だが、二人の心の中にあるのは、お互いの面影だけ。どうしても気にしてしまうのだ、お互いの事を。
そんな中、捜査線上に上がるビガの父親。合同捜査となり向かったフランス本部。そこで待ち受けるのは「E」に誘導された末の最悪の事件。トトキ課長の愛猫を利用した爆弾テロ。
煙に巻かれ伏せるエチカを救う為、規律もコードもねじ伏せハロルドは銃を握り。失いたくないから発砲する。
もう一度向き合い、お互いの事を考えていたと告白し合い。二人は推理をすり合わせ、お互いの推理を組み合わせる。その最中、エチカの能力低下の真相も判明し、その能力は取り戻せるという事が判明する。
「―――では喜んで提案させていただきます。電索官」
二人の再結成を阻むものはもう何も無い。ならば、戻る時が来た。二人と言う最高のコンビが復活する時が来た。
明らかになる事実、それは内通者の秘めた切なる思いと純粋な愛がこの事件を引き起こしていたという事と、まだこの事件は終わってはいないという事。
だからこそ、まだここからなのである。
前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
ユア・フォルマIII 電索官エチカと群衆の見た夢 (電撃文庫) | 菊石 まれほ, 野崎つばた |本 | 通販 | Amazon