読書感想:ユア・フォルマ V 電索官エチカと閉ざされた研究都市

 

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読書感想:ユア・フォルマ IV 電索官エチカとペテルブルクの悪夢 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、恩師であるソゾンを殺した相手への復讐に燃える我らが友人、ハロルド。彼は忘れてはいけない、アミクスと呼ばれるロボットである。だが、その思いと心のあり方は、もはや「人間」といっても差し支えの無いものかもしれない。ならば彼は人間か、と聞かれると勿論そんな事もない。ではそんな彼の相棒である電索官、エチカは彼を止められるのか、と言うと。やはりそう簡単には行かぬ。何故か。彼女が未熟だから、と言い換えてもいい。

 

 

だとしても捜査は進み、終わらない。彼等が追うべきはまだ追いきれてないから。

 

「私を守ろうなどとは努々考えないで下さい」

 

秘密を守りたいエチカ、そんな彼女を共犯として巻き込みたくないハロルド。人と機械の間で友情をはぐくんでいた二人の間には、気が付けば大き目の溝が完成し。周囲も疑惑を抱く程に、どこか絆は拗れ始めていた。

 

その最中、判明した「トスティ」の秘密の一端、それはかのAIの出身地。その場所とは「ファラーシャ・アイランド」と呼ばれる社会実験場として作られた、非公開の次世代技術研究都市。人間の人格を模倣したアミクス「ego」に関する計画が持ち上がるそこへ、ビガとフォーキンも共に乗り込んでいく事になる。

 

 だがしかし、様々な未知の技術が支配するそこへ乗り込んでみても、得られた手掛かりはあまりにも少なく。トスティのプログラムコードが、アイランド運営開始当時、創設チームの一員であったロイドという男により創られお蔵入りになったものとは分かるも、ロイドは既に死んでおり。糸の如き手掛かりは途切れる中、突如起きたユア・フォルマの異常動作事件に巻き込まれ、ビガが負傷してしまう。

 

急遽そちらの事件も追う事となり、手掛かりとして再起動されたスティーブも加わり。いつもとは違うメンバーで事件に挑む中、エチカはハロルドと共にこの都市の闇を目撃する事となる。

 

「ego」に隠された真実、何かを隠している研究者たち、秘密裡に行われている計画、そこに絡み合う意外な所にいた黒幕の狙い。

 

そこに至るまでに、何度もハロルドとぶつかり合い。結果的にそのたびに選択肢を少しずつ間違えてしまい。少しずつ輪は繋がり始めるも、大切な証拠は掌をすり抜けていく。

 

「これだけははっきりと言えます。あなたは、間違った選択をした」

 

そして、間違い続けて止められなくなって。エチカとハロルドの間の絆は、決定的に拗れて壊れてしまうのである。

 

決定的な破局を迎えて、どこへ彼等は向かうのか。

 

皆様も満足してみて欲しい。

 

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