読書感想:星美くんのプロデュース vol.2 ギャルが似合わない服を着てもいいですか?

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:星美くんのプロデュース vol.1 陰キャでも可愛くなれますか? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で級友の陰キャ、心寧の抱えていた問題をファッションと言う観点から解決に導いて見せた主人公、ジルこと次郎であるが。陰キャでも可愛くなれる、というのは素材がいいから、とも言える。では、イメージにそぐわない服、似合わない服という命題に関してはどうプロデュースするのか、というのが今巻である。

 

 

 

「―――それじゃあお言葉に甘えて、体で払ってもらおうかなー?」

 

夏休みも迫る中、原宿にお出かけする次郎と心寧。 心寧はともかく、ファッションにかけるお金に躊躇いがない次郎は夏休みを前に金欠気味で。そんな中、不注意で心寧が通りかかった大人の女性、望のブランドバックを珈琲で汚してしまい。特に気にした様子もなかった彼女の案で、裏原宿にある彼女の店であるカフェでバイトする事となる。

 

そのバイト先にいたのは、クラスメイトであるチャラ男の陸。ジル、もとい次郎の正体をバラすわけにもいかず、正体を隠し通す為に程よい距離感を保とうとし。心寧がアクシデントでお酒を飲んで暴走してしまったり、聖羅と次郎で心寧を陽キャ風なコーディネートをさせてみたり、と日常を過ごす中。陸に好意を抱く聖羅から、彼の好きな人を探って欲しいとお願いされる。

 

「―――それじゃあさ、これからはボクも折戸くんの『逃げ場』になってあげるよ」

 

まずは世間話と言う形で、彼の話を聞いてくる中で見えてくるのは彼にとってこの店が「逃げ場」である、という事。その心の隙間に入り込む形で「ジル」として信用を得つつ、聖羅をガーリー風にコーディネートするが、次郎だからこその早とちりで勘違いしてしまい、その正体を知らぬ陸の思いがジルに向けられてしまい、まずはその思いをフラットにすべく立ち回る事を求められる。

 

彼の思い、そして彼女の思いに迫る中で見えてくるのは「期待値」という話。自分と言う存在、自分の人生というものへの期待値。それをあげるべきか、それとも下げるべきか。それはどちらも重要ではない、大切なのは再設定すると言う事。期待値も、望むべき方向性も。

 

「これが、伊武さんにする最後のプロデュースだよ」

 

大切なのは期待できること。期待できる自分でいる事。その為に始まる最後のプロデュース、そして心寧と次郎の後押しを得、聖羅は陸に思いを伝えるべく走るのだ。

 

一つの関係性を導き、次に来るのは因縁の爆弾。一体次巻では何が待っているのか。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 星美くんのプロデュース: ギャルが似合わない服を着てもいいですか? (vol.2) (ガガガ文庫 ガゆ 2-4) : 悠木 りん, 花ヶ田: 本