読書感想:最強英雄と無表情カワイイ暗殺者のラブラブ新婚生活 1

 

 

 さて、英雄と言うのは例えば勇者のように活躍した者が、活躍の後に何かを為して呼ばれるようになる印象があるのは私だけだろうか。それはともかく、例えば勇者や英雄であっても、最終決戦で死亡したりしなければその後の人生がある。それは当たり前だろう、勇者も英雄も人間なのだから。では戦いを終えて、何をするのか。その強大な力を持ったまま、な事が多い中どうするのか。これはそんな英雄の「余生」を描いたお話である。

 

 

例えば王様のような偉い人に疎まれたりして、悲惨な結末を迎える事もあるかもしれない英雄と言う立場。しかしこの作品の「英雄」の一人、エルド(表紙左)はまだマシな方であろう。何せ若き国王である友人、レオンもまた英雄なのだから。

 

人類を脅かしていた魔族の独裁者、魔王がその子供と人類連合の猛攻を前に遂に敗北し、人類は一致団結し同盟を結び、友好条約及び魔族側との不可侵条約が結ばれ。平和になったとある異世界で。大戦中の働きにより「英雄」と呼ばれるようになった者達の一人、「白の英雄」であるエルドは引退する事を決める。

 

「大好きな、貴方の傍で、ずっと微睡んで、いたいから」

 

しかし、それは一人に非ず。恋人であり、常にその影に侍り守り続けた「死神」、裏世界最強の暗殺者であるクロエ(表紙右)も彼と共に引退し。二人は夫婦として、かつて助けた辺境の村に狩人とその妻として移住する。

 

この世界、どうも情報を伝える手段はそう発達していないらしい。それもあり、エルドとクロエが英雄であるとバレる事もなく。二人は辺境の村に、着々と馴染んでいく。

 

森の中、ボロ小屋に見せかけた東方的な内装の家で日々を暮らし。時に村に迫らんとする狂暴な魔物を狩人として狩ったり、行商人と交流したり。村の人からの依頼で、薬草を取りに山を越えて駆け抜けたり。

 

それは、彼等が何よりも望んでいた日々。もう魔王との戦いを考えなくても良い、まるで微睡むような穏やかな日々。そんな日々の中、そもそも戦いばかりだったからイチャイチャの方法が分からなくて。それでも夫婦なりにその方法を模索して、クロエが空回りして一線を超えたら、後はそれが一番の方法であると決めたかのようにいちゃいちゃにゃんにゃんと、情熱的な夜の時間が増えていって。

 

 

けれど、平穏な日々は時に破られる。訪ねて来たレオンと、その護衛であるヒナが知らせてきたのは魔族領からの逸脱者。一般的な兵士には荷が重い、魔竜と呼ばれる強大な魔物の侵攻。

 

「なぁ、クロエ―――いいか?」

 

「ええ、もちろん、ですよ」

 

それは友に迫る脅威、日常に迫る脅威。ならばそれを祓う事こそ、その力の使命。エルドの言葉にクロエは躊躇う事なく頷き。英雄に戻った二人はレオンとヒナに加勢し、あっという間に脅威を退けるのである。

 

 

既にアフターストーリーであるからこそ、何も考えずにいちゃいちゃと甘さを楽しめるこの作品。砂糖を吐きたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

最強英雄と無表情カワイイ暗殺者のラブラブ新婚生活 1 (HJ文庫 あ 13-01-01) | アレセイア, motto |本 | 通販 | Amazon