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読書感想:魔王使いの最強支配 1 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で二人の魔王、サシャとルインを従える事に成功し、彼女達と共に魔族と人間が融和した国を創り出す事を目指しだした我等が「魔王使い」、ルイン。しかしまだまだ何もかもが足りぬ。一体何が足りぬのか。戦力、という点においても未だ足りぬものがあり。そして人材、という面においてもまだまだ足りぬと言っても過言ではないのである。
急務であるのは、戦力及び人材の拡充。しかしまずは人材を求める事にし。魔王探索も兼ね、ルインたちは腕の良い技術者たちを求め、海辺の港町を訪れる。
が、しかし。海辺の町で待っていたのは、最近沖合に巨大な魔物が現れ人々の生活を脅かしていると言う事。そして海の向こう、豊かな資源のある島からやってきた少女、ルーナと出逢う。彼女こそはルインたちにとっての理想が結実した形であった。それは何故か。何と彼女は、人間と魔族のハーフというとんでもない存在だったのである。
一体海の向こう、島に封印されているのは誰か。それこそは新たなる三人目の魔王、海を統べる「支海」の魔王、アンゼリカ(表紙右)。魔王が封印されている場所へと出向き、何故か現状をある程度把握していた彼女と一戦交え。サシャとリリスから借り受けた力と、道案内としてついてきてくれたルーナの力も合わせ彼女を撃破し、彼女に話を聞いてもらう事に成功する。
だがしかし、仲間と臣下を大事にする優しき魔王の国を脅かさんとする新たな脅威がすぐそばまで迫っている。新たな勇者、フィードと国の騎士団が魔族を捕らえるべく迫っている。その裏で糸を引くのは何か。それは、未だ姿も思惑も見えぬ現魔王の思惑である。
「民おらずして王はおらず」
否応なく巻き起こる戦闘、戦いの中に飛び込んでいくルイン達。しかし自身の矜持により未だルインにテイムされていないアンゼリカは後塵を拝してしまい。不様な姿を見せてしまう彼女に、サシャは魔王たる矜持を以て毅然と告げる。魔王であるのならば、王であるのならば選ぶものは決まっている。今大切なものを選ばずして、何が魔王であるかと。
それこそは一つの真理であり、王たる者としての一つの正しい姿。もはや是非もなし。アンゼリカは民達を守る為自らルインの軍門に下り。彼女を従え、ルインは国から差し向けられた軍隊をあっという間に、只一人たりとて殺すことなく壊滅させて見せる。
新たな勇者と国に見せつけた、自分達の圧倒的な力。しかしさらに見せつけられていく偉業の裏、現魔王は妖しく笑う。これもまた、想定通りと。
全てが大きく広がり、物語が本格的に動き出していく今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。