読書感想:パシられ陰キャが実は最強だった件

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 さて、この世界には「能ある鷹は爪を隠す」なんて言葉が存在する。実は知らぬだけで、皆様の隣にいる特に特徴もない平凡な人が、実は何らかの分野でスペシャリストだった、なんて事態もあり得るのかもしれない。では、「能ある鷹は爪を隠す」を地で行く人達がその本領を発揮する瞬間と言うものはギャップのある格好良さが味わえる、と言っても過言ではないのであろうか。そんな瞬間に始まるラブコメ、というのは確かに存在しているのである。

 

 

とある高校に通い、クラスで委員長を務める少女、シズカ(表紙左)。彼女には最近、とある見逃せぬ光景があった。それはクラスの陰キャ、アキラ(表紙右)がいつも「三バカ」と呼ばれる問題児三人組にパシリにさせられていると言う事。何度注意してもその光景は変わらず、本人もあまり気にした様子もなく。やきもきしながらもそれ以上踏み込めず、もやもやする日々。

 

「俺……ヤろうと思えばいつでも言うこと聞かせられるから」

 

 が、しかし。街で不良に絡まれ助けようとしてくれた三バカもあっという間にノされ絶体絶命の中。遅れて現れたアキラはあっという間に不良を片付けてしまう。そう、何を隠そうアキラは誰よりも強い少年だったのである。

 

普段パシリをしているのは単に自分の鍛錬にしたいため。容易に逆転しうる関係を敢えて維持している彼の真意をイマイチつかみきれず、そんな中、彼の愉快な交友関係を目撃し、馬鹿だとしか思っていなかった三バカ達の意外といいところもある一面を目撃していくシズカ。

 

「良かった・・・・・・委員長に当たらなくて」

 

……それは、恋が始まる合図だったのであろう。どんどんと目が離せなくなっていく、知りたいと思っていく。自分でも見知らぬ感情が生まれ、心の中を埋めていく。瑞々しい恋の感情に芽生えていくシズカに引っ張られるかのように、アキラの心の中にも見知らぬ感情が芽生えていく。めげる事なく自分に関わってくる彼女の一挙手一投足が見逃せなくなっていく。

 

「これがお前の本気か?」

 

だからこそ、彼女に手を出す不埒な輩は許せない。誤解から別の高校の不良共に攫われたシズカを救うため、彼女の友達と三バカと共に現場へと乗り込んでいくアキラ。彼が告げる言葉は、冷たき怒りと共に。必殺、滅殺を予期させる絶対零度の声音と共に、彼女を救い出すべく彼は戦う。

 

 元を覗いてみればこってこての王道ラブコメ、それが魅力的な登場人物と共に綴られているからこそ。この作品は真っ直ぐに面白いのである。

 

原作のファンの読者の皆様、王道なラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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