読書感想:バズれアリス 1 【追放聖女】応援(いいね)や祈り(スパチャ)が力になるので動画配信やってみます!【異世界⇒日本】


 さて、バズるという概念は画面の前の読者の皆様もご存じであろう。しかしその基準は、例えばtwitteryoutubeにおいては違うのかもしれない。私も一度くらいはバズってみたい、というのもあまりないが。バズる、というのは有名になる、という事に繋がる。そしてこの作品においてはその、「バズる」という概念がヒロインであるアリス(表紙)の戦いにおいて重要な要素を占めるのである。

 

 

魔王が人間に対して猛威を振るい、神によって選ばれた三人の聖女が、兵士たちと共に魔王を討伐したとある異世界。かの異世界で、人とのつながりを力に変えると言う力で、兵士たちと共に戦い抜いたアリス。しかし彼女は庶民の出であった為、終戦後に王侯貴族や同じ聖女であるディオーネの掌返しに遭い。冤罪をかけられ死刑となる所、千年以上に打ち倒された幽神の亡骸が祀られている「幽神霊廟」へと追放されると言う目に遭った。

 

「これだけもらったのに、返せるものがありません・・・・・・」

 

 何処までいっても、孤独、の筈だった。しかしその探索は、謎の鏡を見つけた事で運命の転機を迎える。鏡越しに出会ったのは日本で「しろうさぎ」、という洋食屋を営む青年、誠。人間の行き来は出来ないけれど、物なら行き来できるというその鏡で、ご飯を食べさせてもらい。しかし彼女には何も返せるものがなかった。それでも彼からは希望を貰った。その希望をこれからの人生への展望に変え、彼の前から去ろうとするその直前。誠は対等な関係になる為、一つの提案をする。

 

「俺はきみに頼みたい仕事がある」

 

アリスが稼いで、そのお金で誠が何かを買ってくる。その為にはどうすればいいのか。答えは簡単、電波が通じるなら出来る仕事がある。そう、動画配信者である。

 

そして始まるのは「聖女アリスの生配信」。それは一度のバズりを切っ掛けとし、大いに盛り上がっていく事となる。想像してみてほしい。画面の向こうに広がるのは、本物の非日常であり、現実世界ではあり得ぬ、様々な楽しみ方が出来る光景で。そんな世界をいい笑顔で冒険していくのは、二十六歳児とでも言うべき暴れん坊。そういった要素が人気にならぬ、訳が無い。

 

そして、「バズり」とは人と繋がるという事。即ち、バズることはアリスの戦力アップにもつながるという事。ダンジョンを護る精霊たちと時にバトルし、時にスタッフとして扱き使い(?)。幽神の元を目指して大冒険を繰り広げていくアリス。

 

「マコト。私、目標ができたんです」

 

その胸に宿るのは、「これから」を叶える新たな夢。一緒に生きていく未来の為の、原動力なのだ。

 

正に一体になって盛り上がれる、心踊る面白さがあるこの作品。心を元気にしたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

バズれアリス 1 【追放聖女】応援(いいね)や祈り(スパチャ)が力になるので動画配信やってみます!【異世界⇒日本】 (オーバーラップ文庫) | 富士伸太, はる雪 |本 | 通販 | Amazon