読書感想:勇者と呼ばれた後に2 ―そして無双男は家族を創る―

 

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読書感想:勇者と呼ばれた後に ―そして無双男は家族を創る― - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で家族となったロイドとイヴリース、ソフィアとアリスという四人家族であるが。特にロイドとイヴリースは、その手を多くの血で染めている、というのは画面の前の読者の皆様はご存じであろう。主に特にロイドの方であるが。背負ってしまった殺したと言う事実は、時に恨みを招き、新しい因縁を招いてくる。そういった事実を知らしめるかのように今巻ではイヴリースが狙われるのである。

 

 

「ソフィアを娘だと思うからこそ、彼女がやってみたいと思ったことは、優先するべきだ」

 

前巻の騒動の後、少しずつこの家に馴染んだのか。ソフィアが教会で開かれる学校に行きたいと言い出し、イヴは思い切り反対し。だがロイドとアリスは賛成に回った事でソフィアは学校に通える事となり。子供の馴染みは早いものと言わんばかりにこっそりと見守る夫婦の心配をよそに、友達を作ったソフィアは魔物も出現する山に友人と一緒にピクニックに行きたいと言い出し。ロイドとイヴが保護者として同道するという条件の元、皆で山へと向かう。

 

だが、その山で新しい出会いが待っていた。巨大な魔物に襲われていたのは、竜の子供であるレティナ(中央)。聞けば彼女は、「千竜殺し」との異名を持つ傭兵に故郷の家族を皆殺しにされたらしい。関発入れずその「千竜殺し」、プライドという名の傭兵がイヴリースこそが標的であると明かし襲い掛かってくる。

 

まぁ画面の前の読者の皆様ももうお察しであると思うがこの男、かの愚王の差し金である。そして本人もまた、イヴとは別の竜に故郷を滅ぼされたと言う過去を持つが故に、竜の殲滅に執念を燃やし。レティナを保護する場所を求め、イヴの旧知の相手の元へ向かう一同を僅かな匂いを手掛かりに、どこまでも追いかけてくる。

 

折角のお客様を迎えての家族だんらんを邪魔される。その恨みは正当ではある、けれど歪んでしまった今となっては身勝手なもの。ならば止める為にも、守る為にも。今度は二人で協力し、魔剣の力を解放するプライドに一撃を叩き込む。

 

「我がこの家族と居る限り、二度と過ちは繰り返させないからな」

 

自らもまた、同じように暴走した過去を持つからこそ、その痛みは分かる。だけど変わっていける事も知っている。今の自分には大切な家族がいる、だから過ちは繰り返さないと高らかに宣言して見せるのであった。

 

更に家族としての絆を深め、迷う心を救っていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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