読書感想:女友達は頼めば意外とヤらせてくれる

 

 さて、突然ながら私事であるが先日、リアルの友人(※ラノベは読まない)と益体もないLINE雑談をしていたところ、最近のラノベは箍が外れていやしないか、と言われて何の事かと考えてみると、最近のラブコメは性行為が当たり前に行われる作品も少しずつ増えてきており、タイトルもそれを示しているものが多くなってきてる、という事ではないかと考えた次第である。言われてみれば増えてきているかもしれない、何故なのだろうか。もしかすると題材として描かれる世代の今のリアルでは、それが当たり前なのかもしれない。もしそうならば時代が移り変わった、という事であり。私も年を取ったという事なのかもしれない。

 

 

常識が変われば、それを題材にした作品も変わるのかもしれない。と、言う前置きから察していただけたかもしれないがこの作品はつまりはそう言う事なのである。タイトルそのまま、な作品である。

 

「友達、なんだからね?」

 

明かりの無い部屋、二人きりのベッド。官能小説の導入のよう、しかしヒロインである女友達、葉月(表紙)との関係は恋人に非ず。あくまで「友達」、恋愛感情はなく。

 

「パンツ見せてくれ!」

 

 少し前の価値観、風潮であれば目を疑うかもしれないその光景は何故作られたのか。それはこの作品の主人公であるごく普通の思春期の少年、寿也が発した欲望から来る願いによって、である。

 

偶々同じマンションに家がある友人同士。何気ない出会いから知り合って、まぁ何となく友人同士として付き合って。家がとても近くであると判明してからはより距離感が近くなって。恋心を交えぬ関係は、ふと発された願いにより、変わるのか。

 

と思いきや、変わる事は無かった。だが二人の遊びには「エッチ遊び」という項目が追加された。新たな楽しさを知った二人が、何だかんだとのめり込んでいくのに時間はかからなかった。胸を見たり揉んだり、更には避妊した上で一線を呆気なく越え。恋心があればびっくりするような速さで進んでいく関係、しかしそこに恋はなくあるのは友情ばかり。

 

更には葉月の友人であるお嬢様、瑠伽もまたその関係に飲み込んで。意外と積極的であった彼女もその遊びに加わり。三人で遊園地に行ったり、そのままホテルで一夜を明かしたり。2人が3人になり、関係性は少しだけ大きくなる。

 

「俺は、ずっと二人と友達でいたい」

 

だけど、望むのは恋人ではなく友人。それは二人も同じ。だからこそ「女友達ハーレム」とでも呼ぶべき、中々にいい意味で変わった関係が彼らによって構築されていくのである。

 

地雷原に薄氷を敷いてその上でタップダンスをするが如く、中々にギリギリな所を責めているこの作品。だが恋という感情を交えぬからこそ、頭を軽くできる面白さがあるのも確かである。

 

コメディ多め、軽く楽しめるラブコメが読みたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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