さて、ヒーローという単語を聞いて画面の前の読者の皆様は何を連想されるであろうか。仮面ライダー、プリキュア、スーパー戦隊、ウルトラマン、グリッドマン。一口にヒーローと言っても様々なヒーローが存在している訳であるが、ヒーローが戦う中で周りに及ぼす被害、というのは基本的に許される事が多いのかもしれない。因みに周囲になるべく影響を及ぼさぬように戦うヒーロー、というのは仮面ライダークウガを見て欲しい次第である。
各個人それぞれ違う能力であり、更にその発動においてはデメリットとも呼べる欲求が伴う「PF能力」と呼ばれる能力を用い、組織化された「ヒーロー」が「怪人」と戦う現代世界に似たとある異世界。かの世界「ホワイトジョーカー」というコードネームで活動する青年、晴彦。彼は実は、現代日本で生きていた記憶を持っていた。
「・・・・・・おっぱい、柔かった」
能力を使わずとも、堪り続けるデメリットである欲求。晴彦の欲求、それは「女性にえっちな事がしたくなる」というもの。無論ヒーローであってもそんな事をすれば逮捕一択。そこで彼は見出す。敵のおっぱいならいくらでも揉めるんじゃね、と。敵の幹部であるシルヴィア(表紙)との戦いの中、許可を取って胸を揉み。ロリ系の幹部であるパイモンには興味を示さずに。キレたシルヴィアに折檻されたりする中。彼の元には同世代の能力者である朱美の護衛任務が舞い込んでくる。
ちょっとドライな彼女と距離を詰めようとするも、ぐいぐい行きすぎたりラッキースケベをしてしまったりで、当然のように軽蔑され。そんな中、敵からも狙われる彼女を狙い襲来するのは新たな敵幹部。「赤鞭」との異名を持つパトラの新兵器により、晴彦はなすすべなく追い詰められていく。
追い詰められ、命の危機にさらされ。その危機を救うのは、朱美の献身。何だかんだと彼の事を気に入ってる彼女の胸を触り、欲求が満たされ晴彦は現実に帰還する。
「久しぶりにこの姿になれた」
更なるエネルギー充填、今ここに目覚めるのは真のヒーローとしての姿。中々なれぬ、彼の本気としての姿。
だがそれでも、パトラはその上を行く。その胸にあるのはヴィランの、迫害された者としての誇り。その誇りを抱き続ける以上、ヒーローとして殺し合うしかない。
「死んだらパトラのおっぱいを揉めないじゃないか!」
そんなのは嫌だ、死んでほしくない。何故なら死んだらおっぱいを揉めないから。そんな一見するとばかげた理由、それでも彼はそこに全力を賭ける。絶対に死なせたくないから、と。
絶妙に軽快なコメディが、実はダークでシリアス気味な世界観を中和しており口当たりの軽い作品に仕上がっているこの作品。何も考えず笑いたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
敵のおっぱいなら幾らでも揉めることに気づいた件について (角川スニーカー文庫) | とがの 丸夫, 芝石 ひらめ |本 | 通販 | Amazon