読書感想:魔女の怪談は手をつないで 星見星子が語るゴーストシステム

 

 さてつい昨日、バイオハザード4のリメイク作品が発売された訳であるが、かのゲームはジャンル的にはサバイバルホラーである。かのゲームの敵は基本的に銃弾をしこたま叩き込めば殺せる。と、いう事はジャパニーズホラーの主役である幽霊、悪霊よりはマシなのかもしれない。何せ幽霊も悪霊も、一般人には普通殺せないので。

 

 

だからこそ人は怖さを求めて怪談に惹かれるのかもしれない。ではもしそんな怪談を、文字通りその世界に入り込んで体験できたのなら。皆様は入り込まれるであろうか。

 

「その怪談、もっと怖くしようよ!」

 

「怪談話を解決できるかもしれない!」

 

ごく普通の青年である「僕」、彼の日課は家が隣同士であるというだけで気付けば大学まで一緒に進学してしまった、幼馴染みの配信者アイドル、星子(表紙)の為に怪談を集めると言う事。彼が語る怪談話を星子は目を輝かせ、もっと怖くしようとしたり、理性的に検証しようとしたり。別な方向から攻めていく事で楽しんでいた。

 

「実は、私は魔女なんだよ」

 

二人の舞台である深夜のファミレス、ある夜ふとやってきた影が一つ。「あーちゃん」と名乗り魔女であると嘯く彼女は、幾つかのルールはあるも経験できる「魔女の怪談」へと二人を誘い。「僕」にとって最期の夜が始まる。

 

怪談中は決して手を離してはいけない、同じ話は二回、話は一日三回まで。三つのルールのその中で語られるのは、アパートの一室、事故物件で神隠しにあった大学生のお話、生霊に魅入られた女子大生のお話、そして墓地を訪問すると言うありきたりの怪談。その中、生霊のお話の中で感じた違和感は徐々に繋がり。ありきたりの怪談の中、星子は敢えて怪談のルールを破り、物語の中に消える。

 

「信じてるからね」

 

「僕」へと託された、推察すると言う事。何故星子はルールを破ったのか、そもそも破られたルールとは何なのか。

 

と、ここまで書いてきた訳であるがここまで言えばお察していただけただろう。ここから先は解決編であるという事。故に真実を語るのは禁忌であろう。故にここからは是非皆様の目で見て推理してみて欲しい。ヒントだけはここに書いておこう。

 

全ての怪談は繋がっている。

 

全ての真実は怪談の中にある、そしてそれは見方を変えれば見えてくる。

 

「『星見星子が語る、ゴーストシステム』っていうのはどうだろう?」

 

そしてその果て、推理の果てに彼は一つの選択をする。それを是非見届けてあげて欲しい。

 

二転三転、幾度もどんでん返しの先にひっくり返され、その先に待つのはハッピーエンドか、それともバッドエンドか。

 

それは是非、皆様の目で見届けて欲しい次第である。

 

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