読書感想:うしろの席のぎゃるに好かれてしまった。2 もう俺はダメかもしれない。

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:うしろの席のぎゃるに好かれてしまった。 もう俺はダメかもしれない。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でヒロインである志乃に見事に押し切られ、付き合う事になった我らが主人公、三代であるが。画面の前の読者の皆様、この二人はゆっくりとアイを育んでいくと思われるであろうか。否、そんな事はない。寧ろ爆速、イケイケどんどんで突き進んでいく。それは何故か。それは志乃が恋に対して全力でブレーキが無いのに対し、三代の方も女性と付き合った経験がない故に、ブレーキ役とはならぬからである。

 

 

しかし彼はそれでいい、と許容する。志乃はそのままでいいと受け止める。それはいい意味で器の大きさというものの発露、とも言えるが。同時に、ちょっとだけ不穏な予感も高めてくるのである。

 

「突然だが、志乃が赤点を回避した暁にはご褒美が必要だと俺は思ってる」

 

しかし安心して欲しい、とりあえず今巻ではそんな展開にはならない。寧ろ私の予感が杞憂だったのではないかと思えるほどに、更にいちゃいちゃしていくのである。

 

恋人同士となってすぐに訪れた、期末テスト。赤点多数、補習常連の志乃を助けるために彼女を家まで送る事とし、その時間までも勉強にあて。心を鬼にし三代がスパルタ教師となり。生気を失うどころか血走った眼となった志乃は、期待に堪え見事に結果を叩きだして見せる。

 

クリスマスも近くなる中、委員長である四楓院に懸想しているクラスメイト、まひろの相談に乗り四楓院の趣味を知る為に尾行してみたり。

 

志乃のバイト先のカフェに迎えに行ったら彼女の同僚である芽衣のドジに巻き込まれ、片づけを手伝う事になって、三代を貶そうとした芽衣に、志乃が言葉少なに怒りを投げかけて沈黙させたり。

 

2人で過ごす日常が当然になっていき、隣に君がいるのが当然になっていく。そんな日々の中、志乃の家族と面通しを済ませ、家族の許可を得た上で、期末テストのご褒美として二人きりで旅行に繰り出して。温泉旅館で二人きり、非日常的な時間に二人の距離も自然に近づいて。

 

「・・・・・・ちゅーの先に進みたいんだったな?」

 

それは正に、当然の流れであるのだろう。2人きり、誰も止めるものはなく、心は止まるどころか背中を蹴飛ばしてくる。心のままにお互いを求め。最後の距離はいとも簡単に縮まり。当たり前のように、そうあるのが自然であるかのように、二人は一線を超えていくのである。

 

周囲に与える衝撃が更に強さを増し、色々な影響を与える中で三代の過去も仄めかされ。けれどそんなものは関係ないと言わんばかりに恋が燃え上がる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

うしろの席のぎゃるに好かれてしまった。2 もう俺はダメかもしれない。 (ファンタジア文庫) | 陸奥 こはる, 緋月 ひぐれ |本 | 通販 | Amazon