前巻感想はこちら↓
読書感想：優等生のウラのカオ ～実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり～ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、鏡写しの似た者同士、何処か似ていて似たような傷を抱えている秋人と優の二人、という構図は前巻を読まれた読者様であればご存じであろう。前巻、確かに抱いた恋の想い。それは九割の不純の中に咲いた、一割の純愛。そして、帯にも書いてある通りに「好き」という気持ちに、ウラというものはない。常に好きは、表も裏も極論すればないのである。
「答えは急がなくていいから。ちゃんと藍坂くんだけの気持ちで答えてくれるまで待つから」
前巻、告白すれども、まだ過去の傷が癒えぬ秋人は答えを返す事が出来ず。そんな彼へ、優は敢えて強く答えを求めず。何とも言えぬ関係が始まる中、歪な関係の中で気持ちに迷い、ひょんな事から秋人の姉に優が会う事になったりして。そんな日々の中、近づいてくるのは期末テストの足音。きちんといい点を取る為に、秋人の家で勉強会をする事になるも、ここで優は攻めの一手を仕掛けてくる。
「おうちデート、しようよ」
午後よりも早く集まった午前、秋人の家族は外出中、故に二人きり。二人で息抜きにゲームをしたり、共に昼食を作ったり。それはまるでおままごとのような、恋人同士の距離感にも似た時間。だがそれで優は満足しなかった。まるで押して駄目なら押し倒せ、それで駄目ならもう抱けとでも言うかのように、更に攻め寄せてくる。
「好きに触ってもいいんですよ」
いつもとは違う場所での撮影。貴方だけはいい、と許すゼロ距離。それは秋人の理性を溶かしそうになるには十分なものであり、同時に心の傷を彼女が埋めていくにも、十分なものであった。
そんな彼女へ襲い掛かる、逆恨みからの根も葉もない噂。だがその中で秋人が貶された事で、犯人へと怒りをあらわにした優は、毅然とした態度で彼への思いをあらわにする。
「・・・・・・恋人になりたいかどうかはわからないけど、優のことは大切にしたいと思う」
その思いは、確かに秋人の心を揺らす。心を固めていく。親友達に相談した思い、助言を受けて導き出す想いは、彼らしい優しさを持つ答え。恋心初心者だからこその、これから先如何様にでも進化していける、可能性に満ちた答え。
「―――秋人くんの答え、聞かせて欲しい」
そして全ての思いは、約束の日となる聖夜に向かい、結実する。改めて届けられたその想い、なんと返すかはもう決まっている。不格好でも、不器用でも。きちんと思いを伝えて。ここに二人の関係は約束の場所へ結実するのである。
九割不純だとしても、残る一割を煮詰めればこんなにも甘く。だが恋はここからが本番。故、私は願う。この先ももっと、様々なイベントが拝めることを。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
優等生のウラのカオ2 ~実は裏アカ女子だった隣の席の美少女と放課後二人きり (GA文庫) | 海月くらげ, kr木 |本 | 通販 | Amazon
