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読書感想:お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について4 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、三巻で阻む家の者達を悉く蹴散らし、四巻で二人きりの場でようやっと二人の間の距離をゼロにして。由弦と愛理沙は、もはや新婚かと言わんばかりにいちゃいちゃとしている訳であるが、画面の前の読者の皆様はこうは思われたことは無いであろうか。・・・これ以上、心配する事は無いし語る事もないのでは?、と。
しかし皆様、どうかご安心いただきたい。まだまだ描くべき所は残っているし、結婚にあたっての障害と言うべきか、すり合わせる部分もまた残っている。
それは何処か。それは二人の、とある感覚の違いである。同じ上流階級に見えて、実は全く住んでいた世界が違うからこその感覚、価値観の違い。言わば目玉焼きにかけるのは醤油か、ソースか、というような細かいけれど大きな違いなのである。
「許してあげます」
「愛理沙さん・・・・・危ないので、嫉妬するか作業するかの二択にしてください」
相も変わらずラブラブな日々を過ごす中、キスまでは進んだ事でどんどんと愛理沙が止まらなくなり。どんどんとむっつりな一面が解放され、更には由弦に対しての独占欲、やきもちが爆発したりして。学園祭で和風喫茶をやる事になったクラスの中、自分だけを見てほしいと。恥ずかしさも乗り越えて、ミスコンにゲリラ参加する程に。思わず由弦もちょっとたじろぐ程に、どんどんと愛理沙が積極的になっていく。
「でも、俺たちはお見合いじゃないか」
そんな中、学園祭当日にやってきた由弦の妹である彩弓と愛理沙の義妹である芽衣、そして佐竹家の次男である雄二。彩弓の婚約者であろうとする雄二の、まずは由弦から落とそうとするやり方を見て。考え方のすれ違いのフラグが一つ立つ。
更には由弦の幼なじみであり、上西家の次期当主である千春が、まだ生まれてもいない二人の間の子供と自分の子供との政略結婚を仄めかした事で。二人の間の常識のズレは、ここで顕在化の時を迎えるのだ。
「まあ、実現したら悪い話ではないかもしれないが」
愛理沙もまだ、言語化できぬ、けれど何かが引っ掛かる。それは政略結婚にはじまり恋愛結婚に至った二人だからこその、そして政略結婚が当たり前の世界で生きてきた由弦と、そうではない、一般人に近い愛理沙だからこその常識のズレ、と言えるのだろう。
この先を意識し、気が早いでも子供の話題も出始めたからこそ。このままこの世界で生きていくのなら、その価値観をどうすべきか。それが次の立ち向かうべき課題。
更に甘さ深まる中、ちょっとした不穏の芽が出る今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について5 (角川スニーカー文庫) | 桜木桜, clear |本 | 通販 | Amazon