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読書感想：じつは義妹でした。３ ～最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ～ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、晶と涼太は比翼連理、二人で一つの関係性と言っても過言ではないが、光惺とひなたというもう一つの兄妹はどうなのか。この二人は義理ではなく実の兄妹であるからこそ、恋仲には発展はしない。だが作中で度々示唆されているように、二人がともにお互いへ重めな感情を向けているのは確かである。そんな二人の過去に絡む存在が、晶と涼太の周りにも波乱を巻き起こすのが今巻なのである。
家族旅行と命の危機をきっかけに、更に深まった家族の絆。その絆の先に待っているのはクリスマス。いつもなら光惺やひなた達とパーティしたりするも、今年は家族で過ごすことを決め。家族全員で待ち望んでいる日、までは一直線であるはずだった。
だがしかし、平穏はやはり訪れぬ。演劇部のパーティに駆り出される事が決まり、更には光惺に惚れている級友の為に期末テストを前に勉強会をする事になったり、更にはひなたから二人きりでの食事に誘われ。だが最大の波乱はそこではない。晶が、大手芸能事務所のプロデューサー、新田さんからスカウトを受けたのである。
新田さんからすれば、晶は正に今まででも最高クラスの才能の原石。しかし晶は涼太の妹でありたいからとスカウトをけり、食い下がられた事によって結論を保留する事になり。晶の進路を考える事で、涼太もまた自分と晶との関係に悩むことになる。
彼女の実の親でもある建から突き付けられたのは、自分が随分と晶を音質で甘やかしてしまったという事。彼の優しさが、晶を涼太なしではいられなくしてしまったという事実。
そして、新田さんが語るのはとある「兄妹」の話。2人を結ぶ絆が強すぎたからこそ、結局お互いの強みを殺してしまったという過去。それはあの二人を結ぶ絆の真実。
その事実を前に、何を選ぶべきか。役者と言う道に惹かれつつある晶を繋ぎ止めていてはいけぬ、航海に送り出すべきだ。だが、ただ自分から離れさせようとするだけでは「兄妹」の二の舞だ。ならばどうすればいい。簡単だ、覚悟を決めてしまえばいい。決めたのならばみっともなくとも足掻いて見せろ、青臭い大見得だって切ってみろ。
「でも、晶と進む道なら、たぶん俺は絶対後悔しないと思うので」
だからこそ、涼太は勝負の大博打、切り札の一手を切って見せる。送り出すのではなく相乗りする、地獄の果てだろうが共に進むと言う選択肢を。
一つ一つ向き合って、少しずつ乗り越えて。未熟だからこその瑞々しい成長の輝きがある今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
じつは義妹でした。4 ~最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ~ (ファンタジア文庫) | 白井 ムク, 千種 みのり |本 | 通販 | Amazon
