読書感想:才女のお世話4 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました

 

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読書感想:才女のお世話3 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、雛子と美麗、そして成香。三人のお嬢様と友誼を結びクラスで友人も出来。順調に生活を営んでいる伊月。しかし彼を巡るラブコメは、まだ始まりを見せていない。それは何故か。雛子は気づいていないし、美麗と成香はそも、まだその段階に立っていないからである。ではこの状況において、ラブコメ起爆剤となるのならどんな存在が良いであろうか。それ即ち、盤面の外からの存在。それも、伊月と相当親しい存在であると尚よい。

 

 

「なんたって私は―――伊月のお姉さんなんだからっ!」

 

その役目に相応しい少女は只一人。伊月の前に通っていた高校の同級生であり、正しく彼と一緒に育ってきたと言っても過言ではない、彼の事はお嬢様たちも知らぬ本当の意味での全部を知っている。幼馴染の百合(表紙)である。何とかいろんな問題も乗り切り迎えた夏休み。軽井沢のホテルへと夏期講習へ、雛子たちお嬢様の面々と向かった伊月の前。偶々同じホテルにバイトできていた彼女と再会する事から全ては動き出す。

 

「伊月、なんにも変わってないね」

 

「そっちもな」

 

気安い関係であっという間に昔のように、懐まで入り込み。幼馴染だからこその気安さで伊月といつもの会話を繰り広げ。その調子でお嬢様たちともパジャマパーティーを通じて接近した百合は、明かした伊月の過去の一端を聞いたお嬢様たちの反応に、「姉」として調査を決意する。

 

「あーあ。皆、青春してるのねー」

 

 するりと迫って聞き出す本心、其処に見えるのはそれぞれの伊月への信頼と思い。彼女達だからこその魅力を感じ、伊月は誰と結ばれても大丈夫、と安心し。・・・と、思っていた。だが、その心の中には波風が立っている。自分は、自分はそれでいいのか、と心がうるさく騒ぎ立てる。

 

今まで側に居たのは自分なのに、自分が彼の事を一番わかっている筈だったのに。だが彼女の目の前、伊月は彼女の知らぬ顔を見せていく。彼女の知らぬ成長を見せ、彼女の事を置いて行くように歩き出し。まるで八つ当たりのように激情をぶつけ、勢いのままに離れてしまう。

 

「ついでに言うと、今の俺があるのは全部百合のおかげだよ」

 

 自分がもう並べぬ、思うからこその劣等感。だがそんな事は関係ないと。百合のピンチを颯爽と救い、伊月は自分の思いを口にする。今まで彼女が側に居てくれたからこそ、自分は自分でいられたのだと。

 

その様子と、百合のあり方を見つめ。訳も分からぬ懊悩に心震わせる雛子。そんな彼女へ百合がかけるのは、精一杯の応援。だがそれはキラーパスとなり得る、全てを始める為の言葉。

 

海水浴をしたり、皆で花火をしたり。当たり前の、どこでも変わらぬ夏休みを過ごす中。全てが本格的に始まる今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

才女のお世話 4 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました (HJ文庫) | 坂石遊作, みわべさくら |本 | 通販 | Amazon