前巻感想はこちら↓
読書感想:僕らは英雄になれるのだろうか - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で主人公である大和を取り巻く、それこそ一人一人が文字通り主人公クラスである仲間達、という個性が爆発している現状についてはお分かりいただけたであろう。彼等は一点突破型の強さを持っている、しかし彼等とてまだまだ未熟なひよっこ達。しかしアポリアとの戦いは待ってくれず、強敵との戦いを強いられる。だがそれもまた彼等を成長させる試練に過ぎず。そんな彼等の更なる活躍と成長を描いていくのが今巻なのである。
恩人を模したアポリアとの戦いを乗り越え少しが経過したころ。シーカー養成学校にとっては一大イベントの一つである、関東校と関西校による親善試合の季節がやってくる。更なる戦いの気配に胸躍らせるも、十組の生徒達は前巻の戦いの成果をまだ認められず、侮られるばかり・・・
「で? あと何回死にたい?」
と、思いきや秘密兵器の一人であるLIAが圧倒的な力を見せつけ他の生徒達の心をこれでもかと粉砕し。彼等は誰からも文句を言われる事無く、代表の座を掴み取る。
「そんなもん、一人で勝たれへん弱者のたわごとやろ?」
相も変わらぬ選民思想がマウントに変わりつつあるアメリアに困らされながらも乗り込んだ関西校の存在する地、奈良。しかしそこで待ち受けていたのは突如襲来したアポリアの大群と、それを一人で駆逐した孤高のエース、亞墨(表紙左)。群れる事を嫌う彼女の戦闘に宇兎が巻き込まれ負傷し、それを見ても謝りもしない亞墨に怒りの湧いた大和は仇を討つ事を宣言し、対抗戦の幕が上がる。
しかし対抗戦は彼だけの舞台ではない。限界を超え力を振るった蕾愛が更に成長し、闘争心に欠けていた密也が圧倒的に不利な戦いの中、勇気を出して覚醒し。
「その仲間をバカにするお前を、俺は許さない!」
そして約束の勝負。秘めた力を解放した亞墨に押し込まれながらも、乾坤一擲の策に賭けて大和は勝利を掴み取り。けれど絆の力を見せつけられて尚、秘密兵器たちに力を見せつけられて尚。亞墨は謝る事をせず、大和の成長をアメリアは心穏やかではない様子で見つめる。
そんな彼等の前、現れるのはアポリアの大群。それを率いるのは雷帝を模した上位個体。遭遇し真白を待とうと思った途端、功を焦ったアメリアの独断専行が戦端を開き、大和たちは圧倒的に不利な戦いを強いられる。
「約束ってのはな、信頼なんだよ」
だが、信じてくれる人達がいる、守りたい者がある。味方に指示を出しながらも最前線に飛び込んでいく大和に英雄を感じアメリアが挫折を乗り越え参戦し、更には亞墨もその場に現れて手を貸し。全員の力を合わせ、科学の法則まで用いた新たな合体技を炸裂させ。必死の戦いの果て、彼等は勝利を掴み取って見せる。
だが、まだ戦いは続く。そして彼等の周り、何かを見据える者がいるのも確かなのだ。
より熱く、まるで刀の様に打ち上がっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。