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読書感想:パシられ陰キャが実は最強だった件2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、これまで立ち塞がる敵をアキラがその拳でぶっ飛ばしどんな事態も乗り切ってきたわけであるが、果たして画面の前の読者の皆様はこのままで終われると思っておられるであろうか。このまま敵の強さが変わらなければ、それはアキラの無双が続くと言うだけである。だがこの作品における敵キャラは少しずつ強さを増している、そうなればいずれアキラにも対処できぬ場合も増えてくるであろう。
そんな事態になったのならば、もちろんシズカに出来ることは無いであろう。しかし隣に立つ者として、シズカは何も出来ぬままで良いのか。
否。今巻ではそのようにシズカが一つの覚悟を以て行動する巻であり。いつにも増してアキラがブチ切れていく巻である。
前巻で巻き込まれた、シズハとジョウに関するドタバタ。そのお詫びも兼ねて彼女達に旅行に誘われ。いつもの三バカトリオも交え、仲の良い友達たちで旅行する中。やはりアキラは女難ならぬヤンキー難の相でも持っているのか。旅行先を地元とする最凶のヤンキー軍団、穴熊高校でパシリとつかわれる少女、レイを助けた事で。恥をかかされたとして、アキラ個人が穴熊高校に宣戦布告される事となってしまう。
「やっと、私のことちゃんと見てくれた」
相手のボスであるタイガに言われた事が心に棘として突き刺さり。更にはシズカも初めての嫉妬に揺れていた事もあり、すれ違ってしまい。だがシズカは勇気を以て踏み出しもう一度向き合い。晴れ晴れとした気分で決戦の場へと向かうアキラ。
だがしかし、レイの家と言われた場所へと場面は切り替わり、シズカが囚われた時。全てを覆す事態が明らかとなり、突然の爆発からアキラを庇った事でシズカが負傷してしまう。
「シズカが目を覚ますまでに、やらなきゃいけないことがある」
シズハにより明かされたのは、先日の誘拐未遂から全ての事実が繋がっていて、黒い噂の絶えぬ名家、銀堂が彼を潰そうとした、という事。自分と付き合わなければ、と失意に沈むアキラは仲間達の手荒い叱咤激励により立ち上がり、本当の決戦の場へと向かう。
「本当に優しい人間は、大事な人に誰かの命を奪うことを望んだりしない」
全ての黒幕、本当の愛に気付かぬ者。だがアキラは違う。本当の愛をもう知っている。知らぬ者に、負ける道理は何処にもない。
「―――しかしお前には、同情の余地が微塵もない」
そしてその黒幕を生み出した、全ての元凶。偽りの愛で全てを壊した者にかける同情も、慈悲もなし。血の唸りが、心臓の鼓動が世界を変えてアキラを動かす。全ての決着の一撃へと導いていく。
「―――うん、俺がシズカと結婚するから大丈夫」
お互いがお互いの為に背負った傷、それはまるで二人を導く縁の様に。そんなちょっと物騒な絆があるからこそ、何気なく漏れた言葉から繋がる未来はすぐ側なのかもしれない。
シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
パシられ陰キャが実は最強だった件3 (MF文庫J) | マリパラ, ふーみ, 六井調, 六井調 |本 | 通販 | Amazon