前巻感想はこちら↓
読書感想:コンビニ強盗から助けた地味店員が、同じクラスのうぶで可愛いギャルだった - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、この作品は続刊も既に決定しているらしく嬉しい次第である。という前書きはさておき、前巻を読まれた読者様がこの巻の感想を見ていると言う前提の元に今巻の感想を書いていくわけであるが。前巻を読まれた読者様は主人公とヒロイン、リクと彩奈の間に皮肉過ぎて残酷すぎる繋がりがあると言うのはもうご存じであろう。
リクの両親が亡くなった事故、それを引き起こしたのは彩奈の両親。事故の被害者と加害者と言う、とんでもない関係性。その関係性は彩奈の心をこれでもかと蝕んでいた。リクへ抱いた初恋の感情が蕩けそう、だがそれを上回る勢いで浮かび上がるのは自分への殺意。自分には生きている価値がない、だけどそれでも逃避の為に死を選んではいけない。全ては自分が悪いのだと、自分を責め続ける彼女。
「オレは星宮に会いたい、そして・・・・・・一緒に生きたい」
彼女の祖母の元へ引っ越した彩奈を追い、彩奈の親友であるカナと共に彼女の待つ田舎へ。しかし再会した彼女は心の防衛本能で、リクと過ごした記憶を失うという、辛いにも程がある状態となっていた。
忘れている、自分だけが覚えている。だがカナも交え彼女と交流する中で知る、彩奈の今の記憶。リクと過ごした思い出を忘れてはいても、心に蓋を仕切れずに彼への好意だけは覚えていると言う状態。
その状態に一縷の望みをかけ、協力を申し出たカナと協力し、もう一度絆を結ぼうとするリク。同じ経験をし、少しずつ彼女と向き合い。恋心は覚えている、だからこそもう一度転がる様に。彩奈とリクはもう一度接近していく、心が繋がっていく。だがその様子を見守るカナの心の中にも一つ、変化が生じていく。
それはリクという存在への恋心。許されぬ恋に思い悩む中、祭りを舞台にリクは勝負をかける。彼女の記憶を取り戻し、もう一度向き合おうと記憶の扉を開ける。
「あの事故は私のせいなの」
だがそれは禁忌の記憶を開ける事になってしまう。明らかになる事実、それはあの事故が彩奈の不注意が原因であるという事。ハッピーエンドはそこまで見えているのに、まるで運命が苛めるかのように二人の距離を再び引き離していく。
「彩奈を、本当の意味で笑わせてみせる」
だが、同時にリクの心の中には芯が通る。彼だからこそ出来る筈、彼にしか出来ない筈の願いがその心の中には生まれていく。
更に障害の壁が高く、思いが切なく。その中に鮮烈な思いが更に高まる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
コンビニ強盗から助けた地味店員が、同じクラスのうぶで可愛いギャルだった2 (ファンタジア文庫) | あボーン, なかむら |本 | 通販 | Amazon