読書感想:魔女と猟犬3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:魔女と猟犬2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、随分とこのシリーズの感想を書くのも久しぶりな気がするが、前巻は果たしていつ刊行されたのか、というと何とちょうど一年前である。なのでこういう言い方をしてしまうと荒れかもしれないが、もしや打ち切りになってしまったのではと心配されている読者様もおられたかもしれない。だが安心してほしい。この巻の感想を書いていると言う事は、このシリーズはまだまだ続いていると言う事であるので。

 

 

では前巻で一体どんなお話が繰り広げられていたのか、と言うとであるが。前巻の混沌を深めた戦いの中でロロが瀕死の重傷を負ってしまい、一先ずの一時しのぎとしてファンネルの氷の魔法で凍らせ、何とかその命を保っていると言う意外と大ピンチな状況である。

 

 ではこの状況を打開できるのは誰か。それは勿論、「魔女」である。ロロという行動の指針を取り戻す為にテレサリサとファンネルは、共和国イナテラの港町であり大陸最南端の街、サウロを目指す。そこの海で名を馳せる海賊に出会うために。

 

その名はブルス(表紙)。大切なものと引き換えにどんな願いでも叶えると言う「海の魔女」。だがしかし、彼女は魔女であると同時に海賊である。欲しいものがあるのなら力づくで奪えという流儀に振り回され、なかなかうまくいかぬ説得。その中、合流したカプチノやファンネルはそれぞれ流れに巻き込まれるように、ブルスと行動を共にする。

 

 だがしかし、その動きを放置しておく王国側ではない。魔女達を追い九使徒達が動き出し。更には港町の司祭たちまでもが動き出し。小さな港町と大きな海を舞台に、三つ巴、四つ巴まで勢力が絡み合い。それぞれの場所で戦いが巻き起こり、状況が二転三転する混沌が巻き起こっていく。

 

その中で交わされ、繰り広げられる「約束」と「裏切り」の物語。事態の中心でぶつかり合い交じり合う、「二人」の思い。そこから見えてくるのは、許せぬ者達への怒り。やはり奴等だけは許すわけにはいかぬ。

 

「あと六人か。長いなあ」

 

 だが、魔女の動きを決めるのは、その心を決めるのはロロにも、テレサリサにも出来ぬ。仲間にする事は出来ず、寂しい一時の別れもあり。もう一度初めから、くらいの勢いで魔女集めの旅は再び始まる。

 

その裏、新たな魔女の影が蠢く。森の奥で子供を食らう魔女は、静かにそこで生きている。

 

一時の別れ、再びロロを追い詰めていく世界。果たしてこの先、旅は何処まで続くのか。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。