読書感想:孤高の暗殺者だけど、標的の姉妹と暮らしています2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:孤高の暗殺者だけど、標的の姉妹と暮らしています - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で不格好な兄妹として営みをスタートしたミナトとエリカ、ララの三人であるが。そも、一つ片づけてもララが狙われる存在には変わりなく。それどころか、いきなりラスボスに近い強敵が襲来するのが今巻なのである。その名はフレイヤ。エリカの母親であり、師匠の元嫁であり、そして魔女界の重鎮であり歴戦の女傑である。

 

 

「許可取ったと言わないだろそれ」

 

そんな彼女がやってきた理由はエリカを連れ戻す為。まぁそもそも許可を取っていなかったエリカが悪いわけであるが。一先ず泊まってもらう事にし。三人で暮らす事のメリットを見せることで納得してもらおうと言う作戦を立てて。しかし、エリカが学校に行っている間はミナトとララの二人きり、その時間の荒廃ぶりに思わずフレイヤがキレて口出しし。名誉挽回の為、ララが持っていた師匠の手帳に書かれていたオムライスのレシピを再現する事で、画竜点睛を欠くも何とか許可を引き出すことに成功する。

 

 

「あ、明日! ボクとデートしてくれませんかっ!?」

 

 

 が、しかし。やっぱり面倒事は逃がしてくれなかった。フレイヤのお付きとして現れた、エリカの旧友である陰キャ魔女、ニニウム(表紙右)。フレイヤの思惑に関係なく襲撃してきた彼女を捕まえたら、ミナトに惚れこんでデートをお願いしてきて。エリカとララが影から見守る中、何とかデートを乗り切りエリカとニニウムを仲直りさせる。しかし熱を出したララを看病していた所にやってきた室長は、とんでもない事態を告げる。

 

 

それは師匠が十七年前に記していた手帳に、「セクター9」を滅ぼしかねぬ秘密が書かれていると言う事。ミナトの背信行為どころではない文字通り組織存亡の危機。自身とララの罷免を条件に提示され、脅迫材料としてその手帳を探す事となる。

 

未来予知の力を持つララを頼りに、いくつものセーフティハウスを巡る中。公安に追われ、更には魔女陣営からフレイヤまで襲来し。ダイヤを操る魔女である彼女に為すすべもなく敗退し、エリカが連れ戻されてしまう。

 

室長から改めて下される指令、それはフレイヤもエリカも暗殺して手帳を奪い返せというもの。エリカか、ララか。選べる命は一つだけ。フレイヤから示されるのは、二人の身の安全と引き換えにエリカとの関係を断って欲しいという願い。

 

「エリカさん、俺と一緒に死んでくれ」

 

 だけど誓った、約束した。絶対にララも、エリカも守り抜くと。その約束がある以上、エリカの事も手放したくはない。改めて誓う、守り抜くと言うこと。プロポーズにも近い言葉を投げかけ、改めて全員でフレイヤと戦う事となる。

 

手帳を巡る戦い、しかしそれは最後に掻っ攫われて。その先に明かされるのは、ララの本当の力。それは未来予知とは比べ物にならぬ、あらゆる意味で危険な力。

 

「どんなことがあってもこれだけは忘れないでくれ。俺とエリカさんはララを愛している」

 

だが、例えいつか彼女が災厄の卵として利用されるのならば。その道へといかせぬのは、鍵となるのは家族愛。世界の行方は、文字通りミナトとエリカに託された、のかもしれない。

 

更にバトル、更にほっこり。物語が本格的に始まる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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