読書感想:【翻訳】の才能で俺だけが世界を改変できる件 ~ハズレ才能【翻訳】で気付けば世界最強になってました~

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 さて、この世の中には「翻訳家」という職業がある。私達普通の読者にとっては未知なる言語を我々に理解できる言語に変換する、というのは慣用句等の細かい表現等もあり、中々に大変な職業であろう。対し、ドラえもんの道具には「翻訳こんにゃく」なる道具が存在する。その道具にもしも頼るようなことがあれば、翻訳家と言う職業の方々はご飯を食べられなくなる事であろう。という前置きはさておき、皆様は自分が知っている言語で書かれていない本を読みたい場合はどうされるであろうか。大人しく翻訳されるのを待つか、それとも辞書か何かを片手に読む事に挑戦されるであろうか。

 

 

その答えは各自にお任せするとして、この作品の主人公、ノア(表紙上)が手に入れていたのは「翻訳」という才能である。どんな言語も解読に苦労することなく自由自在に判読可能、それは例えば学者であれば垂涎の的となる才能であったかもしれぬ。

 

 しかし、名門魔法貴族である彼の実家からしてみればとんでもないハズレ才能。故に彼は幼き頃から冷遇され、成人と共に放逐されてしまう。だがしかし、彼は全く困ることは無かった。

 

それは何故か。何故ならば彼は、決して無学な存在ではなかったから。それどころか実家に隠されていた隠し書庫にあった数多の古代魔導に関する書を全て読破し、その全てを自分の力とし。既に最強の魔法使いに相応しい実力を持っていたのである。

 

だがしかし、生来の生真面目さか、それとも謙虚さか。己がどれだけ規格外の存在かと言うのも知らず、世界を見て回る為に冒険者となった彼は瞬く間に、規格外の偉業を成し遂げていく。

 

家を出て早々、魔物に襲撃されていた第二王女、クローディアを助けその心を奪い。

 

冒険者になって早々、襲撃をかけてきた規格外の強さを持つ魔物、ファフニールを容易く退け従える事になり。

 

ひょんな事から知り合った考古学者の少女、ユンと共にダンジョン探索に出向いてみれば、隠されたフロアで眠りについていた紀元前の種族の少女、アレクシア(表紙手前)の封印を解き、自分だけが言葉が分かる為に懐かれて。

 

 どんどんと彼の周りに形成される人間関係。 しかし、その裏で謎の敵の思惑が幕を開ける。「闇の妖精」なる古代言語が分かる謎の存在が、彼を狙い山ほどの巨体を持つ未知なる魔物を差し向ける。

 

ユンの呼びかけにより始まる、全ての人々を集めた共同戦線。その中で父親とぶつかり合い、その記憶を奪い。アレクシアと共に勝ち目の薄い賭けへと挑んでいくノア。その姿を見つめ、彼の父親は記憶と愛を思い出し。不器用ながらも再び向き合い、彼を決死の思いで援護する。

 

「・・・・・・父上の覚悟、無駄にはしません」

 

こんな状況で成った親子の和解、しかしそれを時間の無駄にしない為。父親に背を押され、ノアは自分だけの力、魔物の力を解読し身に着けた技で全てを終わらせ。

 

そして、父親との和解も正式になり。英雄と呼ばれ名声を得ながらも、世界へと飛び出していく。まだ見ぬ世界を見る為に。

 

王道的な追放ものの面白さの中に、これまた王道な熱さのあるこの作品。

 

王道的な作品が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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