読書感想:チヨダク王国ジャッジメント2 姉と俺とで異世界最高裁判所

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前巻感想はこちら↓

読書感想:チヨダク王国ジャッジメント 姉と俺とで異世界最高裁判所 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の刊行は約一年前であるが、この作品のあらすじを覚えておいでではないと言う読者の皆様は、一先ず上記の前回の記事の復習をしていただきたい。では、復習の上で今巻は一体どんな方向へと進んでいくのであろうか。その答えは言うまでもないかもしれない。ファンタジー系の作品における二巻とはどんなものであるのか。それ即ち物語が本格的に動き出す巻であり、本当の意味での始まりとなる巻である。

 

 

ツカサとアクトが異世界の王国に来てからおよそ三週間。チヨダク王国にも存在する少年審判廷で裁かれようとするゴブリンの少年、ゴブタ。その罪状は不法侵入なれど彼は口をつぐみ、結局のところ軽微な事件で終わり。そんな事件とも向き合う中、アクトの内心に浮かぶのは不安。ただの器用貧乏である自分がいつか要らなくなるのではないかという、漠然とした不安。

 

 しかし、日常を容易に崩壊させる次の事件は早くも幕を開ける。エクスタシアがかつて召喚したビルが倒壊するという事件が巻き起こり、その被告として王女、エクスタシアが神官長であるギルヴァールに裁かれそうになり。シロも法廷の妨害として退廷させられる中、アクトは教会への潜入調査へと乗り出していく。

 

実際の潜入で垣間見る、教会と言う組織の異常さ。ツカサが裁くと宣言した、「神」を狂信する者達の本心。何故彼等は執拗に王女を裁こうとし、更にはツカサやアクトにまでその矛先を向けてくるのか。シロの助けも借り、真実に迫り。一人崩落現場で現場検証をするツカサに合流し、反撃の為の準備を整えていく。

 

 遂に始まる反撃の為の裁判。教会と言う敵のおひざ元で繰り出されれるツカサとアクトへの死刑判決。その判決を覆す力となるのは、この巻中に築いてきた関係と、矮小な者達の思い。シロの献身、そして今新たに芽生えたアクトの覚悟。

 

異世界のすべての力を、掌握する」

 

裁判の中、神器の所有者となる事で理解した自分の力の意味。もう特別に憧れるのはやめる、この世界の為になせる事を為す。その為に決意するのは、力に屈しない為の新たな道。その道を進む事を決意するアクトに、改めて付き従う事をシロは決め、彼に導きを求めていく。

 

前巻がツカサという「主人公」の始まりであったのならば、今巻はアクトが「脇役」ではなく「主人公」へと変わり、舞台に上がる今巻。二人がそれぞれ主人公であるからこそ、ここからが本番となる筈である。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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