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読書感想:佐々木とピーちゃん4 異能力者と魔法少女がデスゲーム勢を巻き込んで喧嘩を始めました ~並びに巨大怪獣が日本来訪のお知らせ~ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、佐々木を巡るヒロイン達が一堂に会し火花を散らしたり、更には異世界の魔物であるクラーケンが襲来したり。現実世界は大混乱の大わらわであり、これまで現実世界を中心に佐々木とピーちゃんは駆け抜けてきたわけであるが、画面の前の読者の皆様はこうは思われたことは無いだろうか? 最近、異世界サイドが蔑ろになってないか? と。そう思われた読者様はどうかご安心していただきたい。何故ならば今巻は今まで溜めた分、異世界サイドの物語を進めていく巻だからである。
日常サイドも一段落、細々とした事件があったり、お隣さんが軽井沢にお引越ししたり、二人静が何故か仮面を被ってはっちゃけたり。今まで強敵との戦いと次々と追加される要素に翻弄されてきた分を取り戻すかのように。大きな事件も起きず、今までの動乱から比べれば大人しさの中に耽溺する。
だがしかし、二重生活を送る佐々木にのんびりする暇はあまりない。彼方立てれば此方が立たぬ、という事態になってはいけない。折しも彼等が世話になっているヘルツ王国は今、動乱の危機に揺れているのだから。
佐々木のパトロンとも言えるアドニス殿下の兄、ルイス殿下による敵国であるマーゲン帝国への出兵。話を聞けばどうにも玉砕必死な無謀な作戦を放置しておくわけにはいかず。ピーちゃんの魔法により姿を変え、佐々木とピーちゃんは二人、一介の流れの商人として帝国へと潜入を果たす。
かの地で待っているのは何か。それは裏切りと謀略。そして何回も回転する真実。裏切り者と思っていた者の本当の思い。不器用に過ぎた一人の王子の、国を、そして弟を思うが故の彼なりの最善の一手。国を、弟を生かし先へと進ませるための、彼なりの願いがこもった一手。
「我々の手で本来のヘルツ王国を取り戻すのだ!」
その思いを受け、王子は立ち上がる。その目に未熟ながらも為政者の風格を宿し、その背中でカリスマを背負い。全ての者達に下知を下し、今こそ王として立ち上がる。
その傍ら、佐々木とピーちゃんの二人も駆け抜ける。腹心として最前線を駆け抜け、王国を取り戻す為に奔走していく。
その道の先、復権の時は来る。だが、まだ彼に平穏は訪れぬ。帰還した現実世界、更なる厄介事と追加要素が待っている。
一体どこまでごった煮にすれば気が済むのか。その答えは分からない、だがまだまだこの作品は加速していくのである。
シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。