読書感想:ダークエルフの森となれ4 ―現代転生戦争―

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ダークエルフの森となれ3 ―現代転生戦争― - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の発売は約八カ月前となるこの作品であるが、前巻の顛末を画面の前の読者の皆様は覚えておいでであろうか。簡単に言ってしまえば、戦争は最終局面であり既に最終決戦の幕は上がろうとしている中、最悪なタイミングでの同盟の破棄により錬介とシーナは絶体絶命、という状況である。ここから彼等に逆転の芽はあるのか。そもそもまず、この状況から脱出できるのか。そんな窮地から今巻は幕を開けていくのである。

 

 

「また、会えました。嬉しい、です・・・・・・」

 

まず脱出の好機は何処にあるのか。それは意外と身近に存在していた。絶体絶命の窮地に助力として現れたのはオーガの魔術種である少女、カリン。ハーフのオーガでありセイレーンの眷属として従えられていた彼女が支配を脱し、助力してくれたことにより何とか窮地を脱する二人。

 

 しかし、状況は予断を許さず、油断も出来ぬ場面は続いていた。そもそもカリンはシーナをかつての世界で殺した相手であるも、何故かその記憶もなく。更には千紗人とセリアメアの策略により、錬介とシーナは事件の関係者として追われる身となってしまったのである。

 

唯夏とも引き離される事となり、そもそもカリンは本当に味方であるのか信用も出来ず。しかし騎士団の包囲は、着実に彼等を追い詰めていく。

 

だがしかし、逃げ続けるのは性に合わぬ。逃避行の中で改めて絆を確かめ、一線を越えた錬介とシーナに迷いはなく。一点を狙う為、千紗人とセリアメアを奇襲し、ここに戦争の決戦の幕が上がる。

 

スライム、ダークエルフ、エルフ、そしてオーガ。全ての種の代表たちが一か所に集い、死力を越えてぶつかり合い。それぞれの思いが交わされ、誰かに思いを託して誰かが散っていく中。全てを殺すと言わんばかりに掴み取る、犠牲の上の勝利。

 

その果てにすぐ側にいた「神」により明かされるのは衝撃の事実。この世界の成りたち、輝獣と呼ばれる獣達の成り立ち。そして、この戦争が何故起こされたのかと言う真実。

 

「だったら、向こうの世界で試してみればいいじゃないか。その普通の方法を、新しくな」

 

 その事実と選択を迫る「神」へと、彼等はハッタリも交え新しい選択肢を突き付ける。あまりにも平凡過ぎて思いもしなかった、けれど無限の可能性に満ちた当たり前で迂遠な作戦を。

 

その選択は神の一笑を誘い認められ。新たな世界で戦いが幕を開ける。無限の可能性が広がる未知なる世界での、新たな生存圏を作る為の見果てぬ戦いが。

 

独特の伝記的で戦記的な面白さ、画面の前の読者の皆様も是非。

 

最後まできっと満足できるはずである。

 

ダークエルフの森となれ4 -現代転生戦争- (電撃文庫) | 水瀬 葉月, ニリツ, コダマ, 黒銀 |本 | 通販 | Amazon