読書感想:ダークエルフの森となれ3 ―現代転生戦争―

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ダークエルフの森となれ2 -現代転生戦争- - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、今までシーナの眷属として全てを捧げ、戦いの度に新たな力を目覚めさせ戦い続けてきたこの作品の主人公、錬介。だが、今まで何も失わずに来た彼にも大切なものを無くす選択肢を突き付けられる時が来た。それが今巻の展開であり、戦いが新たな段階を越え終わりへと傾いていくのが今巻である。

 

 

さて、前巻の展開を覚えておいでであろうか。前巻の戦いの中、RV式駆動鉄騎を持ち出し大暴れしてしまった錬介とシーナ。その戦いの中、確かに戦果を得る事は出来た。それと引き換えに得てしまったのは、悪い意味での注目。謎の人物に騎士団本部への呼び出しを受ける事になってしまう錬介。

 

「エルフだ! 高慢ちきなクソ野郎!」

 

「さすがはダークエルフ。粗野で粗暴ですね」

 

 そこで待っていたのは、有名人でもある長門駆動騎士団の団長、千紗人。その秘書として彼の傍に侍る魔術種「エルフ」のセリアメア。しかし、提案されたのは意外なもの。輝獣を操る謎の魔術種、そこに対抗し戦うための一時同盟であった。

 

その魔術種の根源魔力も譲る、戦力サポートも至れり尽くせり。微妙な不信を覚えながらも協力関係を取る事を選ぶ錬介達。

 

その準備の場、錬介はとある人物、実家を出て以来疎遠となっていた少し確執のある実の姉、希実。会話も手短、向き合う暇もなく。共同戦線を取り立ち向かう敵。それは「導き手たる光」と呼ばれる新興宗教を率いる魔術種、セイレーン。あどけなさの中に狂気を秘め、可憐なる歌で全てを惑わし、まるで人形遊びかのように意のままに操る繰り手。

 

初戦は痛み分けとなり、次の戦いに備える中でセイレーンとその僕達による騎士団本部へのテロ事件が巻き起こり。これまでとは違った形での戦いが繰り広げられ、仲間がいるからこそ何処か違った形での戦いの中へと錬介とシーナは飛び込んでいく。

 

「お前、大事なモンを、捨てられるか?」

 

 その戦いの最中、あと一手が足りぬと言う状況の中。シーナは状況打開のために錬介へと問いかける。二番目に大切なもの、姉との絆を捨てられるか。今、遅ればせながらも気づきつつあった彼女の不器用な気遣いの手を振り切り、もう一度絆を繋ぐ機会を永遠に失っても良いか、と。

 

どこまでも強欲であっても、何かを失わなければ得られるものはなく。それは迷うべき選択か。

 

否。そんな事は無い。錬介にとって一番大事なのはシーナである。ならば、もういっそ躊躇いもなく。心裏腹に、彼は希実との絆を切り捨て勝利を掴む。

 

 だが、何か忘れてはいないだろうか。この世界にはまだ魔術種が残っている事。その敵はすぐ近くにいる事。

 

最悪のタイミングで破棄される同盟、敵は魔術種、眷属共に圧倒的格上。対するこちらは消耗抜けきらぬ絶体絶命。

 

ここに最終決戦の幕は上がる。果たしてこの先、待っているのはどんな戦いなのか。

 

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