読書感想:ラブコメ漫画に入ってしまったので、推しの負けヒロインを全力で幸せにする

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 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。皆様はラブコメ系の漫画作品、もしくはラノベ作品と言うのは恐らく読まれているであろうと言う前提の元に質問させていただくが、もし「親友キャラとして」転生するなら、どんな作品の世界に転生してみたいだろうか? もし転生したのなら、皆様は一体、どんな行動をしてみたいだろうか。

 

 

親友キャラ、それは主人公に最も近い立ち位置のキャラであり、状況によってはヒロインとも既知の相手であり。時に主人公とヒロインの仲立ちとなる存在。

 

「好きだ」

 

 では、そういった存在にトラックに轢かれるという古典的な方法で転生してしまった少年、司は何を為したのか。その答えは一つ、自身の最推しキャラである負けヒロイン、聖(表紙)に告白して見せたのである。

 

「幼馴染お嬢様が邪魔をして、普通のラブコメが出来ない」、通称「おじょじゃま」。アニメ化も進行中のこの人気作品の中で、聖は負けヒロイン。親友の恋を応援し自信は恋心を封印するという損な役回り。でも、彼女を愛するからこそ幸せにしたいと願い告白する司。

 

夢であると思ったからこそ出来たその告白、だが夢は覚めぬ。否応なく自覚する、自分が本当に転生したと言う現実。その現実の中、見つめていくことになるのは主人公でもある親友、勇一を取り巻く三角関係。聖の親友、詩帆と勇一の幼馴染でもあるお嬢様、歌織による三角関係。

 

 しかし、司と聖はその三角関係においては蚊帳の外、故に関係を進めるのに障害は無し。心のままにぐいぐいと攻め込んでいく司に、聖の心は揺れていく。どんどんと心の中、彼の存在が大きくなっていく。彼への思いが高まっていく。

 

どんどんと崩されていくのはクールの牙城、押して駄目なら押し通せと言わんばかりの攻め、だが司の前には一つの問題が立ち塞がる。それはこの手の作品であれば、当然と言ってしまってもいい問題。

 

もうお分かりであろう、作品展開の改変である。期せずして詩織に肩入れする行動をとってしまった事で、物語の流れは変わっていく。歌織の恋が発露せぬままに終わろうとしていく。

 

「ただあんたも、俺の気持ちなんてわからねえだろ」

 

・・・そんな展開は許せぬ、壊してしまえ。作品を愛するからこそ。司は勇一と詩織のデートを見届け身を引こうとする歌織の前に現れ、毅然と告げる。ファンだからこそ知る彼女の心の根っこを突き、己の思いに向き合わさせる。

 

だからこそ、歌織は今まで得たかったものと向き合い。彼の見守る前、少し形は違うけれど物語の扉を開く。彼等の三角関係と言う本筋の物語を。

 

クーデレな彼女の甘々な心の動きが甘く可愛らしく、ラブコメと純愛が同時に楽しめるこの作品。

 

思わず悶え転がりたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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