読書感想:わたし以外とのラブコメは許さないんだからね (5)

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前巻感想はこちら↓

読書感想:わたし以外とのラブコメは許さないんだからね (4) - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、文化祭と言えば最高の青春のイベントである。そしてもう一つ、バンドもまた最高の青春のイベントである。ではその二つをもし乗算したとすればどうなるであろうか。それはきっと、最高に繋がる筈である。私はそう思うが画面の前の読者の皆様はどう思われるであろうか。

 

 

と、いう問いかけの答えは各自の心の中で見出してもらうとして。今巻は文化祭、最高の青春のイベントであり、悲喜こもごもの思いが交錯するであろうイベントである。

 

 では、「アフターストーリー」であるこの作品においては一体どんなストーリーラインの元に展開されるのであろうか。その答えは簡単。ここにあるのもまた、「最高」の青春なのである。

 

希墨とヨルカを巻き込み結成されたバンド、「リンクス」。しかしかのバンドにはヨルカのあがり症と希墨が全くの初心者でありバンド内で演奏スキルの格差があると言う問題を始め、様々な問題に見舞われていた。

 

 そんな中、文化祭へのカウントダウンは刻一刻と進み。あがり症の克服の為、クラスの出し物である飲茶喫茶の代表に立候補したヨルカのサポートも含め、希墨は縦横無尽に奔走していく。

 

皆で結束を深める為、ミメイの家での合宿をしたりして。忙殺される日々を過ごす中、「相棒」である朝姫さんから舞い込んだSOS。親の再婚話に心揺れる彼女を助けるために、ヨルカに送り出され希墨は彼女の元へと駆け出していく。

 

 

 ヨルカは大切、そして仲間達も大切。全部を大事にしようとするかのように、全部を抱え込もうとするかのように。だがしかし、その行為に身体が悲鳴を上げるかのように希墨は本番前に過労で倒れてしまうと言うアクシデントが起きてしまう。

 

本番一時間前、繋がりを感じて信じ彼抜きでステージに立とうとするヨルカ達。対し、目覚め間に合わぬと黄昏る希墨。

 

「・・・・・・こんな結末、いいわけあるかよ」

 

・・・否、そんな訳が本当にあるのか? あの誰よりも諦めが悪い、彼女の為ならどんな無茶でも通して見せる希墨が黄昏て終わるのか? そんな訳がない。例え現実を突き付けられても心は納得できぬ、自分自身に胸を張りたい、ここにいると証明したい。意地と欲のままに、希墨は病院を飛び出し駆け出していく。そんな彼の道を手助けし、仲間達の元へ導いていくのは今まで手に入れてきた縁たち。

 

例えこの一瞬で終わるとしても、と叩きつける己の意思。身体を無理やり奮い立たせ撃ち込む、己の音と言う銃弾。心から叫ぶ彼女への愛、その先に待つ最後にして最高の試練。

 

その全て、画面の前の読者の皆様も是非見届けてみてほしい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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