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読書感想:クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた読者様であれば、この作品の主人公である晃とヒロインである葵が、今は惹かれ合っていたとしても、いつか必ず別れの時が否が応でも訪れてしまう、というのはもうご存じであろう。いつか来る終わりの日までに必要なものは何か。それは葵の居場所。「家」と言い換えてもいい場所である。
母親は蒸発してしまって行方知れず、父親も離婚後は行方知れず。頼れそうなのは、幼い頃にあったきりの祖母のみ。しかしその祖母の手掛かりとなるのは、葵の幼き頃の記憶のみ。
「でも、最近の葵さんは変わってきた気がするんだ」
晃や瑛士、泉と関わる事で増えてきた笑顔と話。しかし、彼等では保護者足り得ない。奇しくも時節は夏休み、そんな中、晃達は瑛士の家の別荘を拠点に、記憶の中の景色を元にした祖母の家の大捜索を始める事にする。
しかし、文明の利器があってもやはり記憶だけでは捜査は難航するもので。更には晃と葵の前に、葵の母親からの連絡を受け、九年間連絡を取っていなかった葵の父親が姿を現す。
既に再婚し新たな家庭を築いていた父親からの、もう一度家族になろうと言う誘い。見つからぬ祖母を探すのが正しいのか、それとも葵を父親の元へ送り出すのが正しいのか?
正しい事は何も分からぬ。懊悩と苦悶が夏休みに灰色の雲を投げかけ、テンプレのイベントにも何処か寂しげな空気を齎していく。
晃の発見によりとうとう見つけた祖母の家、しかしそこに祖母の姿はなく。迫るタイムリミットの中、否が応でも選択肢は迫られる。
「そろそろ晃は葵さんに対する自分の感情に名前を付ける頃だと思うよ」
そんな中、晃は瑛士の言葉を切っ掛けに。目を背けていた自分の気持ちと向き合う事を迫られる。何故、葵がいなくなるのを考えると胸が痛むのか。何故、葵の父親の事情を聴いても尚、父親に対して怒りが湧くのか。
全部諦めたくない、だからこそその思いには「敵」がいる、「悪者」がいる。その役目を葵の父親に押し付けていたと悟り、自嘲に沈む晃の内心。
「それにね、私だって一緒」
しかし、そんな心を葵は自身も同じだと引き上げる。単に離ればなれになるのが嫌だったから、だから側にいる事を選びたいと。
話し合って分かり合い、胸を張って父親に選択を告げ。父親からの情報でようやく祖母が見つかり、念願の再会を果たし。
しかし、全ての事情が片付いても尚、この先には新たな波乱が待っているらしい。それは一体、何なのか。
・・・蒸発した葵の母親が絡んでくるのか、それとも未成年同士の同居生活という今の状況か、はたまた晃の両親か。 一体どんな波乱が待つのか。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話2 (GA文庫) | 柚本悠斗, magako |本 | 通販 | Amazon