読書感想:かまって新卒ちゃんが毎回誘ってくる ねえ先輩、仕事も恋も教育してもらっていいですか?

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 さて、画面の前の読者の皆様の中でブラック企業にお勤めの読者様はどれだけおられるであろうか。お勤めであられるという読者様は、心身の健康を崩される前に早めに辞職からの転職をお勧めしたい。これから来年度、社会人になられるという読者様はよく注意して企業からの求人情報に目を通してほしい。ブラック企業ブラック企業の顔をしていない、一見するとホワイトな裏にブラックな素顔は隠れているので。

 

 

しかし、「掃き溜めに鶴」という言葉がある。もしそんな状況が実際に存在するのであれば、ブラック企業に勤めていても頑張れたりするのだろうか。

 

ホワイト企業の皆、オラに休みを分けてくれ』。何処かのDBの名台詞のパロディで心の叫びを放ちながらも今日も仕事に励む青年が一人、その名はマサト。ブラック企業系広告代理店に勤める、同僚や先輩たちの退職により、次々と仕事を押し付けられた言わば何でも屋の青年。

 

「先輩、今日”も”飲み行きましょう!」

 

 そんな彼にいつも、まるで猫のように絡んでくる女性の影が一つ。彼女の名は渚(表紙)。今年新卒で入社した、美人でスタイル抜群、更には仕事も完璧なパーフェクトなヒロインである。

 

しかし、何故かマサトにだけは何処か距離感が近く。何故かいつも飲みに誘ってくるし、飲んで酔えば更に距離感が近く、べたべたしてくる。

 

「終電がなければホテルに泊まればいいんですっ!」

 

更には余裕で終電が無くなるまで飲み、終電が無いと知れば躊躇いもなくマサトをホテルに誘う。正に好感度MAX、好意全開で迫ってくる渚を時にあしらい、時に手を貸したり。慣れぬアプローチに振り回され。

 

 しかし、彼等は恋をする前に社会人である。そして彼等の務める企業はブラック企業である。だからこそ常に仕事に追われるし、無理なタスクは日常茶飯事。そんな日々の中、ぐいぐい迫ってくる渚に毎日振り回されていく。

 

チーフである鏡花にからかわれて逆にやり込めたり。同期の天才肌のデザイナー、深広とやりあったり。

 

そんな社会人としての日々の中、語られる渚の「始まり」。マサトに恋をしたあの日の出来事。

 

「好きだからに決まっているじゃないですか」

 

そして、思いに背を押され距離感をいつもより縮めて踏み込んで。ゼロになった距離の中、想いが伝わって。本気を感じ、自身の本心を話したマサトと渚の関係性は、確かな変化の時を迎えるのである。

 

何処か気安い学生のように、だけど大人だからこそのアプローチで。ぐいぐい来るヒロインの魅力に溢れている、社会人だからこそのラブコメがあるこの作品。

 

社会人のラブコメを読みたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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