前巻感想はこちら↓
読書感想：僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場２ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の感想で私はこの作品で怖いのは魔物だけではなく、人間もまた怖いものであると書いたと思う。中性的な絶対的な身分制度、封建的な制度がまだ根付いているこの世界。確かに、我等が主人公であるクロス君の師匠たちは最強である。最強であるが故に、身分に縛られぬ。だがその弟子であるクロス君は「無職」であり、平民である。故に未だ、彼は身分に縛られる存在なのである。
そして、前巻で貴族の子女であるカトレアを仲間であるジゼル達と共に撃退した貴族倒し。この偉業は、確かに誇られるべき事である。しかし、それは貴族たちにとってはとんでもない屈辱であり、晴らす事が絶対の汚名であると言う事は、もう薄々画面の前の読者の皆様もお察しであろう。
そう、今巻の争乱は前巻の流れから続く第二ラウンドである。敵となるのは、カトレアの縁者である高位貴族、ギムレット。上級職を持ち、速度に特化した剣術で仕留めにかかる、今まで戦ってきた人間の中では一番の猛者と言える相手である。
折しも時節はバスクルビア名物、「喧嘩祭り」。街に集った猛者たちがその強さを競い合う裏で、有力な貴族たちによる新人と言う人材の奪い合いが繰り広げられる場。
ギムレットからの誘いを一蹴した事でこれ幸いとばかりに目を付けられ、部下達を生かしてジゼル達にちょっかいを出され、痛めつけられ。
「僕はあなたに、一対一の決闘を申し込む」
だからこそ、許してはおけぬ。奴等は既に、クロスの地雷を踏み抜いている。今度は自分の意志で決闘を申し込み、クロスは今までで一番の難しい一番へ挑む事になっていく。
決闘までは時間は僅か。師匠たちの計算でも間に合わぬ。
だがそれでも、自分に出来る事をやるのみ。テロメアに戦い方を教えられ、師匠たちの知り合いである半端者の魔王、ソルティの助けを借りダンジョンへと単身で突入し。
その全てを費やしても、未だ遠き敵の背。そこに追いつくためには何が必要か。―――単純な事だ。敵に追いつく必要はない。同じ力を身につける必要もない。ただ、相手を同じ土俵に引きずり落してしまえばいい。
「これが、ジゼルたちのぶんだ・・・・・・っ！」
戦いの中、傷つく事を厭わずに。愚直にトライ&エラーを繰り返し、戦いの最中も爆速で成長する。そんな彼の魂の一撃が届かぬ訳は、そんな道理はどこにも存在しないのだ。
更なる成長の扉を開き、貴族達すらも従える事になったクロス。そんな彼に注目するのは師匠たちだけではなく。憧れの存在もまた、彼へと注目を始める。
次なる波乱は女勇者、果たしてどうなるのか。
前巻を楽しまれた読者様、シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場 (3) (ガガガ文庫 あ 11-24) | 赤城 大空, タジマ 粒子 |本 | 通販 | Amazon
