読書感想:俺のお嫁さん、変態かもしれない ―ゼロ距離だった幼馴染、結婚したとたん即落ちして俺に夢中です―

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 さて、昨今の社会では結婚願望の低下と言う社会現象が一部で問題視されているらしいが、画面の前の読者の皆様の中で独身の読者の皆様は結婚願望はおありであろうか。無論、そういった願望が無くても別に咎められる事ではないと私は思う。結婚せずとも、他に何かで人生が充実しているのなら、何も無理に結婚しなくても良いのではないだろうか。 では結婚したいと言う読者様にお聞きしたい。皆様は、理想の家庭像というものはおありであろうか。将来、こういう家を手に入れ家庭を作りたいと言う願望はあられるであろうか。

 

 

6LDK+S、庭付き一軒家。それがこの作品の主人公である裕樹とヒロインである涼香(表紙)の新居である。しかしこの二人、別に高校生にして何処かの社長という訳でもない。何なら普通の高校生である。

 

 では一体、何故こんな大豪邸に二人で住む事になったのか? それは、涼香と裕樹で共同購入した宝くじで一等十億円を当ててしまったからである。

 

税の知識があられる読者様、もしくはガガガ文庫の某税金対策ラノベを読んでいる読者様であればお分かりではないだろうか。この世の中には贈与税というものが存在し、それは時にとんでもない値段となる事を。

 

きちんと半分に分けたい、だが贈与税がかかる。頭を悩ます二人へ、涼香の母親はあっさりと提案する。じゃあ、もう結婚すればいいじゃない、と。

 

そんな訳でとんとん拍子で始まった、恋人と言う段階をすっ飛ばした夫婦生活。唐突な非日常の中、裕樹は知る事になる。涼香という嫁の変態性と想いの深さを。

 

「ちゃんと穿いて見せてあげたんだから、約束通り裕樹もボクサーパンツ穿いてよね?」

 

ある時は裕樹に新品のパンツを穿かせる為に、色々あって彼が持っていた煽情的な下着を装備した姿を見せつけ。

 

「あれ? 入らないの?」

 

またある時は、何故かスクール水着で裕樹と一番風呂を共にする。

 

 そんな明るさと変態性の中、確かに根付き溢れる彼への愛。それが傷ついていた彼の心を癒していく。燻っていた彼の心を埋めていく。

 

「焦っても夢なんてすぐに見つからないよ。裕樹の夢はビッグだもん。だから、見つかるまではのんびりいこ?」

 

サッカー部という青春に全力を注ぎ、プロのスカウトの目に止まるほどに実力を認められ、だがその才を周りから疎まれ悪意に潰れ。唯一の持ち物を無くし空っぽの彼を受け止め。私がここに居るからのんびりいこ、と優しく背を押す。

 

「裕樹のこと、だ~い好き。これからもよろしくね?」

 

 この作品は、ずっと自分を好きでいてくれた幼馴染といちゃ甘な結婚生活を送るラブコメである。そして同時に、傷つき夢を無くした少年が、嫁の手を借り自身を再生させていくお話なのである。

 

だが、結婚は始まりに過ぎぬ。大切なのは続けていく事。ずっと、これからも、と。

 

温かくて甘いラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

俺のお嫁さん、変態かもしれない ―ゼロ距離だった幼馴染、結婚したとたん即落ちして俺に夢中です― (ファンタジア文庫) | くろい, あゆま紗由 |本 | 通販 | Amazon