読書感想:飛び降りる直前の同級生に『×××しよう!』と提案してみた。

f:id:yuukimasiro:20220405221247j:plain

 

 さて、自殺は悪い事であるのは言うまでもないが、一番痛い思いをせずに済む自殺の方法とは果たしてどんなものなのであろうか。睡眠導入剤か何かを過剰摂取するのが一番痛みもない気がするがどうなのか。という前置きはさておき、画面の前の読者の皆様は自殺は決してしないでいただきたい。死ぬ前に一度、自分が死んだら誰が悲しむかを思い返してほしいし、自殺のセーフティネットになるものは必ず何かある筈なので、死ぬことを決意する前にまずは周りに頼ってほしい次第である。

 

 

そしてこの作品のヒロインである胡桃(表紙)もまた、今自殺を選ぼうとしている少女である。何故彼女は自殺しようとしているのか。それは高校生離れした美貌と、モデル業にも励むからこそ周囲の嫉妬と孤立を招き。挙句それが苛めに発展してしまい、心が折れてしまったからである。

 

「さぁ、どうする! 変態からのプロポーズを受けるか! それとも自殺するか!」

 

その光景を目撃した、彼女に初恋の感情を抱く少年、貴一。彼は彼女の自殺を止める為に何をしたのか。それは自分とセッ〇スしようという直情的にも程がある、いっそ開き直って最低と言ってもいいぶっ飛んだ発言をしたのである。変態にも程がある、けれど何処までも真っ直ぐなその言葉に勢いを削がれ、一先ず自殺を取りやめ生きる事を選ぶ胡桃。

 

 しかし、そこで終わらぬのが貴一である。しつこくご飯に誘ったり、友達になろうと持ち掛けたり、更には友達候補として自分の妹を紹介したり。彼女の生きる理由を作る為、周りの奇異の目を気にもせずぐいぐいと彼女へと関わり、どんどんいこうぜと言わんばかりに攻めていく。いくら拒んでも離れぬ彼に、徐々に胡桃の心の中も変化を始めていく。少しずつ、貴一に対する思いが芽生えていくのである。

 

かつては傍観者でしかいられなかった、けれどそんな日々はもう要らぬ。必要なのは気にするココロでも、自分の評価でもない。彼女への愛、ただそれだけ。

 

自分を疎む人しかいなかった、自分が一因となって家庭崩壊を招いてしまった。何れも自分の元を離れていく。けれど彼だけは離れなかった。何処までもずっと、と言わんばかりに、それこそ一生ものの愛を何度となくぶつけてくる。まるで光を見つけたかのように、彼へと惹かれていく。心に彼が焼き付いていく。

 

「―――ありがとう。あの日、私を助けてくれて」

 

 彼がいたから踏み出せた。彼がいたから変えられた。だからきっと、この恋は必然。この思いはきっと運命。始まりも酷いし過程もドタバタだけど、この恋は確かに純愛なのである。

 

だからこそ、この作品は面白い。ラブコメ好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。