読書感想:高嶺の花の今カノは、絶対元カノに負けたくないようです2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:高嶺の花の今カノは、絶対元カノに負けたくないようです - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、同じ人を好きになったからこそ、お互いを本当の意味で嫌いになれない。そんな事を私は前巻の感想で語ったかと思う。嫌いになれない、だけど薙人の事だけは譲れない。そんな不思議なライバル関係である二人は、今巻では一体どうぶつかり合っていく事になるのだろうか。

 

 

「私は、薙人さんの一番好きな人になれるように頑張ります」

 

しかし、ぶつかり合いを期待された読者様には申し訳ないかもしれないが、実際の所今巻においては特に大規模なぶつかり合いは発生しない。それは何故か。その理由は、霧と希の薙人が知らぬ所においての接近。同じ人を好きになったからこそ、何も隠さず話し合えるし心を開いて応援し合える。そんな何処か不思議な関係が、薙人の知らぬ所で形成されていく。

 

 そしてそれ、だけではない。薙人と希の秘密の関係を知る人が少しだけ増えるように。新たな関係の繋がりも出始める中、薙人と希、霧の三人はそれぞれの時間を積み重ね、心を揺らしていくのである。

 

「・・・どうして私たちって、いつも雨なのかな」

 

希と離れ、霧と二人で臨んだオリエンテーリング。雨に降られ二人きり、思わずこぼれたその言葉。そこに込められた思いは如何程か、そこに秘められたのは悔恨か、それとも。

 

―――少しでも一緒にいたいですから。

 

同じ時間を過ごしていても、隣の席にいたとしても。どうしてもあと一歩がもどかしく、中々踏み出せず。それでも、もっとと望む希の言葉もまた、薙人の心を揺らしていく。

 

言えれば良かった、だけど言えなかった思いが心を揺らす。それなのに、今、伝えたい事がある。捨てきれぬ想いがある。かつて諦めた事を皆で為してくれた彼へと伝えたい事がある。

 

もっと、もっとと願う心がある。自分の本心に気付いてくれた彼に伝えたい思いがある。誰よりも、自分を見てほしいという言えぬ我儘がある。

 

「・・・・・・みんなが集まっているのは、薙人さんのおかげなんですよ」

 

 だが、確かな事が一つだけある。それは今、この関係があるのは薙人のおかげであるという事。彼を通じ出会い、同じ思いを持てたからこそ、この友情は築けたのだという事。

 

「恋は戦争。私は、朝谷さんには絶対に負けません」

 

だけど、負けたくはないから。だからこそ、やっぱり力強い心のままに戦うのだ。

 

どこか切なく苦しく、けれど真っ直ぐに恋をしている。そんな彼等の瑞々しい、輝くような感情の光がさらに詰められている今巻。だからこそ、この作品は面白いのである。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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