読書感想:元カノとのじれったい偽装結婚2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:元カノとのじれったい偽装結婚 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品の主人公である晴とヒロインである理桜は偽装結婚ではあるも本質的には未練タラタラな両片思い、というのは前巻を読まれた読者様であればもうお分かりであろう。では二巻である今巻では一体、何を語っていくのだろうか。もう語るものなんてない、そう思われている読者様もおられたりするのだろうか。

 

 

だが、そんな思いを抱かれているのであればそれは誤りであると言わざるを得ず。この二人、じれったいのが持ち味である。早く素直になりなさい、と背中を蹴っ飛ばしたくなるくらいには中々歩み寄れない、両片思いな関係である。

 

 そんな両片思いを隠したまま、己のスキを相手に見せぬままに。偽装結婚の一環として入籍する事になるのが、今巻の発端である。

 

入籍まで行ってしまえばそれはもうゴールなのでは? そう思われる読者の皆様もおられるかもしれないが、まだ本当の意味で結婚、したと言えない今の関係のままではゴールしたとは全く言えず。

 

 そんな二人のもどかしい関係を揺らす者が二人いる。一人は前巻でも登場した兄嫁、秋乃。そしてもう一人は、晴の大学の同期でありバイトの同期の千百合である。

 

「あなたにはわかりませんよ。愛されて育ったあなたには、私の気持ちなんて」

 

理桜と二人きりの会談の場、さらりと重すぎる過去の一端を明かした秋乃は改めて晴の事を狙うと宣言し。心の闇と背負った嫁としての責任の一端を垣間見せながら、秋乃は理桜の心をかき乱し。

 

「私、晴さんが好きです」

 

ひょんな事から二人の新婚家庭に泊まる事となりアクシデントから二人が偽装結婚であると言う真実を知り。彼の事を諦めきれぬ千百合もまた、理桜へと宣戦布告する。

 

 心かき乱され、恋敵は強力。自分は何の武器もない、あるのは素直になりきれぬばかりの心だけ。だが、それで良いのか。このまま言われるだけで良いのか。それだけは嫌だ、奪われるなんて絶対いや。心が叫んでいるのなら、一体何を言えばいい。

 

「私、晴のことが好きなの」

 

だからこそ、ならばこそ。理桜もまた、千百合へと自らの心を明かし、奪わないでと必死に叫ぶ。今は未だニセモノだけど、いつか本物になりたいから。だから、誰にも譲れない。今は未だ言えないけれど、それでも渡したくないし離したくないから。

 

前巻にも増してじれったくてこそばゆい。けれど、確かに一歩前進している。亀の如き歩みだけど、それでも確かに。

 

その歩みが、もどかしい恋路が。何よりも甘く、尊くて面白い今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やはりじれったいラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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