前巻感想はこちら↓
読書感想:時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、何とこの作品はかの有名な伝説的作品、涼宮ハルヒの憂鬱並みに売れているらしい。しかも一巻だけで六刷りというとんでもない売り上げ部数を誇っているそうである。だがそれもまた当然であるのかもしれない。何故ならば私も前巻で語った通り、この作品は青春ラブコメの一つの究極形であり、正しくこの作品は「生きている」と言っても過言ではないからである。
しかし、この作品は元々は小説家になろうの短編であり、ここから先はもう道が敷かれていない、正しく未知のレールなのである。元となる部分が無い、この作品はどうなってしまうのか。
そんな事を思われた読者の皆様、どうかご安心していただきたい。この作品、二巻にして更に化ける。最早心配ないと太鼓判を押せる所まで面白さを駆けあがらせていく。この面白さは、私が保証したい。
「誰かに取られてからじゃ、遅いんだから」
前巻の最後、ロシア語で紡がれた告白。その言葉は届いていないと信じても、思わず出てしまった自分の言葉に戸惑い。更にマリヤからの追撃もあり、心揺らすアーリャ。
「いや、ねぇよ」
その同時間帯、政近もまた自身の思いと彼女の想いに戸惑い、妹である有希の前で心揺らす。
だが、恋にばかりかまけてはいられない。立ち止まっている暇もない。段々と近くなってきている生徒会選挙。最大の好敵手はすぐそこにいる有希である。
そして、敵は彼女達だけではない。中等部の時に有希と生徒会長の座を争った女生徒、谷山。政近を目の敵にする彼女は二人へと、政近の生徒会での存在意義を巡り公開討論会を挑んでくる。
敵は目の前だけに非ず、周りの全てが敵と言ってもいいこの状況。だが、政近はアーリャの手を引き果敢に挑んでいく。 腑抜けた昼行燈の顔を脱ぎ捨て、本気で向き合ったあの日のように。目に狂暴な輝きを灯して突き進んでいく。
「こんな議論、もう一カ月前に決着ついてるんじゃないですか?」
サクラを仕込み、搦め手すらも用い攻めてくる谷山達を、今の会長を引き合いに出しユーモアすらも交えた答弁で一撃で切り捨て、討論の舞台の根本、前提から崩壊させ。
「でも、私はその意志に応えたいとおもってるの」
その雄姿と、様々な角度から語られる彼の凄さに彼を見直し、背中を押され。アーリャは真っ直ぐに、谷山へと告げる。彼の想いに応えたい、だからこそ私は負けたくないと。
本格的に始まる、シリアスな中に熱さのある生徒会選挙へ向けての物語の流れ。だがそれだけではない、数々のラブコメ展開も待っている。
【結婚は、まだ早いわ】
ある時はひょんな事から、思わず結婚を意識したり。
【あなた以外にはしないわよ。バカ】
またある時は、彼女の間接キスをゲットしてしまい、分かっていないと思われているロシア語でデレられたり。
思わずため息が出る程に甘く、そして拍手をしたくなるほどに素晴らしい。故にこそ、前巻にも増して面白さが更に跳ね上がっていると断言できる今巻。
前巻を楽しまれた読者様、今新たな時代を切り開いていくラブコメを読んでみたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
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