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読書感想:最強不敗の神剣使い1 王立学院入学編 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた読者様であればこの作品の主人公であるリヒトの、規格外の力はもうお分かりであろう。確かにアリアローゼの魔術のアシストもあったかもしれないが、その規格外の力と神剣に認められるだけのその気質は彼だけが持ち得る資質である。ではそんな彼の資質に最初に気付いたのは誰か? 主であるアリアローゼか?
否、それは違う。彼の資質に真っ先に気付いていたのは、彼の腹違いの妹であるエレン(表紙右)。そんな彼女が父親の署名を偽造してまで彼の元にやってきて、同じ学園に入学した事から今巻は幕を開ける。
「暗殺の日々に怯えるよりも、女子生徒に追い回されたり、決闘を申し込まれる方が何倍もいい」
相も変わらずアリアローゼを狙う暗殺者をぶちのめしたり、主君に突っかかり自分に懐いてくるエレンをなだめたり、かと思えばバルムンク家の妾腹の子、システィーナに何度も挑まれたかと思えば、男子たちからも決闘を挑まれたり。常時稼働状態と言わんばかりに様々な事態に立ち向かう、つまりはその分あらゆる意味での注目を集めつつあるリヒト。
そんな日々の中、エレンの退学を賭け、彼は剣爛武闘祭の二人組で挑むデュオ部門へと挑む事になってしまう。
そこに集うは、二人一組の強者ばかり。だがそんな事は関係ないと言わんばかりに無敵のコンビネーションで蹴散らしていくリヒトとエレンの兄妹。だが、その祭りには闇が潜んでいる。バルムンク家が放った刺客、人造的に作り出されたホムンクルスの剣士コンビが襲い来る。
同時に発生する姫様の襲撃事件。
「行け。姫様、いや、この国の未来を頼む」
目の前に待つのは、ホムンクルスの剣士コンビとの決勝戦。遠くで発生するのは敢えて自ら罠の中に飛び込んだ姫様の危機。
その中、エレンは自身の意思で姫に剣を捧げる事を選び。リヒトを信じ、彼もまた妹を信じ。最強の兄妹は二手に分かれ、それぞれの戦いへと挑んでいく。
だが、話はそこで終わりではない。何とか決勝戦を制し駆けつけた姫の元、立ち塞がるのはホムンクルスたちの完成形。
対するこちらは手負い、神剣も魔剣も決め手にはならず。正しく絶体絶命と言っても過言ではないこの状況。覆す鍵となるのは、「善悪の彼岸」の第二章、新たなる力。
その鍵となるのは「愛」の感情。ホムンクルスでは決して持ちえない、人間だからこその感情。その感情が新たな扉を開く時、彼の手に新たな神剣が託され新たな戦い方が目を覚ます。
前巻にも増して、更に密度と熱さがあがったバトルが見所である今巻。そして今巻からこそが、いよいよ本当の始まりなのである。
前巻を読まれた読者様、やっぱり熱いファンタジーが好きな読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。