読書感想:追放魔術教官の後宮ハーレム生活2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:追放魔術教官の後宮ハーレム生活 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で後宮の姫達を一人前の舞台として育て上げ、魔族を撃退するという大戦果を挙げ、真の勇者として認められた勒ことこの作品の主人公、ロク。が、しかし。まだ何も終わっていない、それどころか始まっていない、というのは前巻を読まれた読者様であればご存じであろう。そういう意味においては、今巻こそが真の意味での始まりとなるのである。

 

 

では、ロクに足りないものとは何であろうか? 戦力は足りている、姫達と絆を結ぶのも順調である。そんな彼に足りないのは、一体何であろうか?

 

 それは、「姫達を本当の意味で救い出す」という事。そもそもそれぞれに事情と苦悩を抱えた後宮の姫達。彼女達の心を本当の意味で救う事こそが今巻の命題となってくるのである。

 

ダンジョンの攻略に部隊で臨んだ所、槍の神器を携えた出奔した前代の勇者と思しき影と遭遇し。そんな一事をすぐに押し流すかのように、今巻でロクは姫達の過去と苦悩に迫っていく事になる。

 

子供が消えるという事件の起きる街、そこで触れるはティティの過去。大家族であると言う彼女の秘密。

 

竜の子供の迷子によるエルフとドラゴンの小競り合いが起きるエルフの世界、そこで明かされるのはサーニャの秘密。謎の出自を抱えた彼女の、本人も知らぬ秘密。

 

そしてフェリス(表紙)の故郷の街、街を襲う魔物達の迎撃に向かった先で見る事となるのはフェリスの立場。虐げられてきた彼女の実家での立場。

 

 それを救えるのはロクしかおらぬ、彼女達の主である彼しかおらぬ。そして勿論、見逃せぬ彼であるわけでもない。

 

「任せておけ」

 

ティティの心をかき乱す光景を前に、躊躇いなく姫達と共に前線へと飛び込み。

 

「違うよ、サーニャサーニャはひとりぼっちなんかじゃない」

 

自らの秘密に心に穴が開きはぐれそうになるサーニャの心を繋ぎ止め。

 

「大丈夫だ。フェリスがどんなに努力を積み重ねてきたか―――どんなに強くなったか、ちゃんと知ってる。自分を信じてくれ」

 

魔物の軍勢に心折れそうになるフェリスを鼓舞し、信じ強敵との戦いを一任する。

 

 八面六臂、縦横無尽の活躍を今巻もまた繰り広げるロク。だがしかし、助けるべき対象は彼女だけではない。新たな出会いの主、先代の勇者である女の子、奏(表紙左)も対象であり、一番近くにいる少女、リゼもまたそうである。

 

「奏は間違いなく勇者だ」

 

勇者としての責務を放棄したと思い悩む彼女の心を掬いあげ。

 

「リゼが歩んできた道は、間違いじゃない。リゼの勇気に、優しさに、何度も助けられてきた」

 

今巻の決戦の相手、新たなる魔族であるラムダ。かの者の手により魔物へと変えられていた妹、シャロットとの哀しき再会。心折れそうになる彼女をまた助け出し、救う為に背を押す。

 

 その優しさと真摯さに救われ。けれど守られるだけではなく、隣に並びたい。そう願い姫達は心からの望みに手を伸ばし、新たな神器達は彼女達に応え、覚醒し力を授ける。

 

本格的に物語の流れが始まり、更に可愛さと絆と愛おしさが高まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やはり可憐な姫が好きという読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。