読書感想:魔神に選ばれし村人ちゃん、都会の勇者を超越する2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:魔神に選ばれし村人ちゃん、都会の勇者を超越する - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様であればこの作品の主人公であるリリィの規格外の強さはお分かりいただけたであろう。今は未だ未熟、何もかも足りないその状態で「勇者」であるノエルと互角に渡り合う程に。その強さはもう納得のものであろう。しかし、前述した通り彼女には何もかも足りない。確かに規格外の才能は持っているけれど、彼女は未だ未熟な探索家見習に過ぎないのである。

 

 

そんな彼女が今回、得ていく経験はどんなものか。それは「誰かを守る事」の大切さ。か弱き者を守ると言う、大切な心なのである。

 

王都での生活にもすっかり慣れ、ノエルやエステル、大切な友人達と日常を謳歌するリリィ。

 

 そんな彼女達に、今巻では二つの出会いが待っている。一つは、リリィによって「プニーリア」と名付けられる事になる可愛い迷子のスライムとの出会い。そしてもう一つは、エステルの妹であるエミリーとの出会いである。

 

 

誰かに捨てられたのか、弱っていたプニーリアを保護し保護者となり可愛がり。何もできない弱いものである、そんな存在をお世話する事で誰かを守る事の大切さを学び。

 

不治の病に侵されたエミリーと親交を深め、病状の進行に心揺らされるエステルを見て、彼女を助けたいと切に願う。

 

 だが、今巻でリリィが得ていく大切な学びはそれだけではない。もう一つ学ぶことがある。それは「誰もが道を踏み外す」という事だ。

 

プニーリアの元の保護者、学園長であるアンジェリカの旧知の相手であり、魔物を改造すると言う禁忌の研究のせいで追放されてしまったマッドサイエンティストアナベル。彼女はただ、認められたかった。アンジェリカのようになりたかった。けれど、認められずに狂気に身を墜とし道を誤ってしまった。

 

エミリーの病を治す為の薬を探す為に王都を駆け回る中、只のジュースを伝説の薬として売りつけてきた喫茶店の主。彼は悪人ではなかった。ただ、エミリーと同じように不治の病に侵された妻を救いたくて、その為に犯罪に手を染めようとしていたのだ。

 

 世界は良い人と悪い人だけではない。そして、まだまだリリィ達は未熟に過ぎる。ダンジョンはそんな彼女達を手荒く歓迎し、厳しさを以て彼女達を迎え入れる。

 

伝説の薬の材料を得る為、アンジェリカに直談判し、クラーラを引率として臨んだ四階層。そこは花畑広がる山を始めとして、見果てぬ程の世界が広がる場所。

 

そして、出現する魔物達は彼女達から見て圧倒的に格上。只の弱い魔物がリリィの反応できない程の速度で襲い来て、彼女達を容赦なく迎え撃つ。

 

 だが、退けない。退くわけにはいかない。

 

材料の花自体が敵意を以て襲い来る。アンジェリカから借りたダメージを肩代わりする護符はあっという間に尽きた。一度捕まえられたらもう終わり。状況は圧倒的に窮地。

 

「リリィ、ノエル・・・・・・ありがとう。私に力を貸して。私も力を貸すから」

 

 だけど、待っていてくれる人達がいる。隣には誰よりも頼れる仲間がいる。だからこそ彼女達は勇気を振り絞り、超速で成長の階段を駆け上がりながら挑んでいく。

 

前巻にも増して可愛いと熱いが溢れ出す、未熟だからこその輝きが強い今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やはり年中麦茶太郎先生のファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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