読書感想:幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら4 彼女になった幼馴染とキスをした

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前巻感想はこちら↓

読書感想:幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら3 再会した幼馴染の家庭教師もすることに - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、お先に前置きしておくがこのシリーズは今巻で完結である。無論、打ち切りという訳ではない。すかいふぁーむ先生曰く、康貴と愛沙についてもう語れる事が無いから、という事らしい。

 

 

それもまた、必然なのかもしれない。前巻で幼馴染である有紀の恋心に決着をつけ、本当の意味で恋人同士となりもはや阻む者なし。なればこのまま行き着く先は何処であるのか。それはすかいふぁーむ先生も語っている通り、「結婚」。このまま順当にゴールインして、幸せになる事こそが二人の既定路線なのだ。

 

 では、最後となる今巻で語るべきことは何なのであろうか? それは簡単な話。それは有紀やまなみ達、周りにいつもいながら、彼等への思いを持ち続ける者達の未来への飛翔。そして、康貴と愛沙の「キス」。恋人として大切な儀式である。

 

「夫婦って、なんか小学校の時にも言われた気がするのよね」

 

自然にいちゃいちゃしているから夫婦のようだと言われ、けれどそれに何だか納得がいかなくて。まなみに提案され、康貴と二人、恋人同士らしくなる為に恋人同士らしい事を提案ししてみる事になる二人。

 

 

ハグしてみたり、恋人限定メニューに挑んでみたり。何故か休日に制服でデートしてみたり。色々と試行錯誤しながら、恋人らしさを模索していく二人。

 

「独占欲が強いの・・・・・・私の方だったみたい・・・・・・・」

 

そんな中、新しい服を着た康貴の写真を見て予期せぬ独占欲が湧いたり。自分自身も知らぬ気持ちに戸惑ったりしながら、疑似的な同棲生活をする事になったり。ゆっくりと恋を深め、着実に恋人同士となってレベルアップしていく。

 

 ぎこちなくも一歩ずつ。お似合いという事を周りに示しながら恋人として絆を深める康貴と愛沙。そんな二人を見て、まなみも有紀も。苦笑いしながらも仕方ないなぁ、と言うかのように恋心を愛沙に託し、自身の道を見出していく。

 

「だから私、お姉ちゃんのお手伝いしちゃうのか」

 

二人の幸せな姿を見るのが好き。そう気付いたまなみは心の中の思いを愛沙に託し、自身が熱中できるものを見出していき。

 

「うまくいくといいね、二人とも」

 

負けるなら愛沙に負けたい。心の中に整理を付けた有紀はスターへの階段を登りだす。

 

「好きだ」

 

「うぅ・・・・・・私も・・・・・・康貴が好きです」

 

 そんな二人に精一杯、柔らかく背を押され。恋人たちの夜、聖夜に二人は最後の線を飛び越えて、キスをする。

 

嗚呼、まさにこれこそを大団円と言うのだろう。艱難辛苦を乗り越えて、この景色まで辿り着いた事を、誰にも否定できない言葉でハッピーエンドと呼ぶのだろう。

 

過去を越え、現在で手を繋ぎ、そして未来へ歩き出す。見守ってくれる仲間達を伴って。

 

そんな二人とのここでのお別れは、きっと哀しい物じゃない。

 

笑顔で見送った、手を振った、よかったねと。清々しい風が心の中に吹き抜ける。そんな最後の光景を、画面の前の読者様も是非見届けてほしい次第である。

 

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