読書感想:追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる3

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前巻感想はこちら↓

読書感想:追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる 2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、私は前巻の感想の最後に反撃を決意すると書いた。凄い戦いが待っているはず、という事も書いた。その予感の通り、今巻では反撃も待っている。凄い戦いも待っている。だがしかし、繰り広げられるのは圧倒的無双、では決してない。ユリアも、人類もまた知らなかった強者達が、「黄昏」の中には待っているのだ。

 

 

前巻の最後、訪れてしまったエリーの死。それはSランク対魔師たちの間に衝撃を齎し、否応なしにお互いに対する警戒を強いらせる結果となる。何故ならば、彼女の死因は刃物による失血死。例え研究者肌であっても、彼女とて最強の一角。むざむざとやられるような者ではなかったから。

 

 では、そのような仮定の下に犯人を絞り込むなら誰になるのか。政府の上層部か、それとも同じSランク対魔師の中の誰かか。有力視されるのは背を預け合う筈の仲間達。だが、そんな不和の中に一筋の光を齎し外に目を向けさせるかのように、エリーは一つの研究成果を残していた。

 

その名は「黄昏結晶」。永久的ではないものの、長い時間黄昏を無効化できると言う画期的な技術。この技術があれば、黄昏へと打って出る事も可能であり、それどころか黄昏の中に前線基地を作る事すら可能である。

 

その技術を元に、一つの作戦が提唱される。その作戦の名はファーストライト作戦。都市に押し込まれた人類が初めて反撃の矢を放つ、黄昏領域に基地を作る為の作戦。

 

 かの作戦に勿論参加し。ベルに要請されエイラと共に怪しい人物に目を光らせながらも、黄昏領域の中へと打って出るユリア。

 

だが、彼の前に予想外の、それこそ誰も知らぬ、伝説上の存在だったはずの敵が姿を現す。その者の名は、イフリート。リアーヌ王女が王家の中で見つけ出した、魔物の起源である魔族。「七魔征皇」と呼ばれし七人の最強、その序列七位。

 

だが、最弱である筈のその者はあまりにも強く。ユリア達Sランク対魔師の背に死への予感を掠めさせるほどの、人類が全く及ばぬ領域にいる、正に人外の強者。

 

「ユリアさん。またいずれ、出会うことになる。あなたは適合者。黄昏の世界に適合した、唯一の人類。しかし、私たちも一枚岩ではない。またいずれ、殺し合いましょう。それでは」

 

引きずり込まれた謎の空間、ベルの言葉を元に見つけ出した新たな力でイフリートの身へと刃を届かせ。だが、決着の寸前、唐突に現れた序列四位、アウリールと呼ばれた魔族は口にする。ユリアこそは適合者、と。

 

魔物と裏切り者、そこに加わる七征魔皇という謎の存在。ユリアを何故かよく知り、明確な脅威として排除しようとする圧倒的な強者達。

 

確かに状況は少し好転した、かもしれない。実際、確かな成果は少なくとも掴んでいる。

 

だが、だからこそ私はこう言いたい。此処からこそが、本当の意味での戦いの始まり、と言えるのかもしれぬと。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非に。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる 3 (HJ文庫) | 御子柴奈々, 岩本ゼロゴ |本 | 通販 | Amazon