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読書感想:追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる1 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の功績により英雄となり、本格的にSランク対魔師として実戦の中で活動する事になったこの作品の主人公、ユリア。だがしかし、画面の前の読者の皆様はこの後の展開はもう予想できるのではないだろうか。史上最年少のSランク対魔師となった彼の身体は、二年間もの間、人類が踏み入れぬ領域で生活していたという驚きと特異に満ちている。なればこそ、彼を自分達の陣営に取り込もうとするのは当たり前の動きと言えるのだろう。
「やっぱり、一筋縄じゃいかないよなぁ・・・・・・」
思わずユリアがそう漏らしてしまう程に、彼を取り巻く事態は戦いへ集中していればよいという訳でもなく、混迷をしていた。
その原因となるのは「保守派」と「革新派」という、人類側上層部の二つの派閥。黄昏という人類共通の危機を前に、纏まるべきにもかかわらず勢力争いを繰り広げる連中である。
保守派が多くを占める中、革新派も徐々にその勢力を増し。だがそれでも人類は一枚岩ではなく、正体不明の裏切り者が結束をかき乱す。
そして、そんな二つの派閥に取ってユリアという存在は是非とも自らの派閥に取り込みたい存在である。故に彼を巡る暗闘が表面化するまでそこまで時間はかからなかった。だが、悪い事ばかりではなかった。実戦に本格的に臨めるようになったことで、ユリアもまた新たな縁とその縁が導いた新たな力の使い方を手に入れていたのだ。
Sランク対魔師序列第二位、自らの剣術で道を切り開くべルティーナ。序列第一位、無数のワイヤーを用い圧倒的な強さで殲滅するサイラス。
シェリーと共にべルティーナに剣術を習い、シェリーがべルティーナに師事する切っ掛けを作り。彼女の剣術を受け継ぐに相応しいと判断されたシェリーは格段の成長を見せ。
それに比するどころか追い抜くように、サイラスとの模擬戦を経てアドバイスを受けたユリアは、新たな力の使い方を身に着ける。
けれど、何処まで行っても哀しいかな。ユリアは一個人に過ぎず、大切なもの全てを守り抜く力など持ち合わせている訳もなく。彼に希望を見出していた対魔師の命は、何者かに容易く奪われる。
その死を目撃したユリアの中に宿る義憤。そう、この先へ進む為には、大切なもの全てを守る為には受け身だけではいけない。攻める事も重要だから。
不穏の種が新たにばらまかれる中、反撃を決意する今巻。
どうか刮目してほしい、ここから繋がる次巻はきっと、凄い戦いが待っているはずだから。
追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる 2 (HJ文庫) | 御子柴奈々, 岩本ゼロゴ |本 | 通販 | Amazon