読書感想:俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた II

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前巻感想はこちら↓

読書感想:俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様であればもうお分かりであろうが、念のためにもう一度共有しておきたい次第であるが。エルヒンの所属する国、ルナンはとんでもなく腐敗している。具体的には王族及びそれに類する者達が腐敗しており、使い潰されるように酷使され、手柄を上げても取り上げられる、という典型的なブラックな上司たちが支配するもう潰れた方が良いんじゃないかこれ、と言いたくもなる体たらくである。

 

 

が、しかし。まだ国を興すには何もかも足りぬ。今は未だ、雌伏の時。例え利用されようともこつこつと成果を積み重ね、自分の価値を認めてくれる者を増やすべき時。

 

 だが、忘れてはいけない。エルヒンの行いはゲームでの行いはもう外れている。本来ならば彼はもう死んでいる、だが今彼は生きている。だからこそ、ここから先は彼でも本当の意味では予想もつかぬ未来が待っているのだから。

 

ユラシアの母国、ロゼルン王国。彼女の凡庸な弟が急遽国王となり、何とか舵を取っている国。

 

 その国は今、滅亡の危機に瀕していた。暴政を敷き、侵略した国に対しては悪逆非道。恐るべき隣国、ブリジドの軍勢が侵略せんと襲い掛かってきたのである。

 

こちらに国力なんてある訳もない。更にはルナンに援軍を求めてみれば、派遣されたのはエルヒンの部隊のみ。それを合わせても、戦力差はおよそ五万。

 

 どう考えても、前巻と同じ若しくはそれ以上の詰んだ状況から始まる絶望的な戦い。だが、そんな中でもエルヒンには秘策があり、負けられぬ理由があった。もしこの戦いに負けてしまえば、ユラシアは死に彼女の国は滅んでしまう。だからこそ、負けられない。

 

宝物庫から手に入れた宝具を使い自軍を強化し、鶴翼の陣を始めとする現代戦略を用い、現場で更なるレベルアップを遂げながら、迫り来る敵を各個撃破し、徐々に戦力差を覆し、最後は敵の国王の前で全てを覆し、全ての戦闘をその手の中で終わらせ。

 

「大局を見ろ。大局を。あまり小さいことに執着すると大局を見誤るぞ」

 

最後は成果をトンビが油揚げを攫うかのように攫われ、手に入れられたのは役に立たぬ保養地だけ。だとしても、それは彼の望んだ事。道化を演じながらも徐々にその手の中に戦力は集う。

 

更なる世界の広がりと、こつこつ進む策略巡る戦いの面白さが更に深まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱり戦略ファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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