読書感想:聖剣使いの最強魔王

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 さて、聖剣と魔剣というものはファンタジーの世界においては王道であり、舞台装置として常によくあるものである、というのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。聖剣に宿るのは聖なる力、魔剣に宿るのは魔の力。聖剣とは人類側が基本的に持っている力であり、魔剣とは魔族のような存在が持っている力。そんな流れが基本ではないだろうか。

 

 

ではこの作品においては一体どうなのか。その答えは既に、題名においてすべて示されている。この作品の魔王は聖剣を使う、使えてしまうのである。

 

人と魔族が対立するとある異世界。そんな異世界の中の魔族の王であり、歴代最強の力を持つ魔王、マヒト(表紙中央)。

 

 だがしかし、彼は魔王としてはあまりにも異端であった。彼の望みは平和。魔族の精神構造としてはあまりにもあり得ぬその望み。それを許す身内では、勿論ない。

 

対立する弟に裏切られ、更には強力な呪いをかけられ。最強の実力を発揮する事叶わず殺されてしまう、絶体絶命の危機に陥るマヒト。

 

 しかし、その時不思議なことが起こった。何と彼は、勇者召喚の儀により呼ばれ、人間側へと勇者として召喚されたのだ。

 

歴代の勇者でも抜くこと叶わなかった聖剣を抜くどころか台座ごと叩き潰してしまい。そこで投獄されたかと思えば、別口で召喚された異世界勇者、ヨーコと共に厚顔無恥な王族の野望をこれでもかと叩き潰し。聖剣を得るため、学院入学を求められれば侵攻してきた魔族に襲われ。

 

「好きなだけ寝てろ。起きた時には全部終わってる」

 

「いくらなんでも弱すぎるぜ、お前」

 

 人間も魔族も、腐った奴等ばかり。そして自分は呪いにより力を奪われ、そして相棒である筈の聖剣は邪悪な一面を垣間見えさせる謎の存在で。だが、そんな中でもマヒトは自信を慕う、召喚者である王女、フラヴィア(表紙右上)を引き連れ我が道を突き進む。許せぬものは許せぬ、守るべきものは守る。その生き方を貫いていく。

 

時にふざけながら、時に丁々発止の小気味よいやり取りを繰り広げながら。〆るべき所はきちんと〆て。真面目に熱血に。

 

そんな掟破りな世界観の中、道理なんて知った事かと言わんばかりに誰もが心のままに暴れ回る。だが無軌道に見えるそんな生き方の中にも、確かな心得の芯が通っているからこそ、筋が通っていて。

 

そんな熱さと面白さが満ちているファンタジーが今作品であり、熱さを求める読者様には是非お勧めしたい作品である。

 

王道な熱いファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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