読書感想:俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、青春とは一体何であろうか。何をすれば青春なのだろうか。何に熱中すれば青春と呼べるのだろうか。画面の前の読者の皆様は、一般的に青春と呼ばれる年齢層の登場人物達によるラブコメが流行しているこの世界の中で、上記の命題についてどう思われるであろうか。無論、答えは各自の心の中にしかなく、明確な正解なんて存在していないのかもしれない。だが、これだけは確かなのではないだろうか。熱中できるものがあって、初めて「青春」と呼べるのだと。何か一つの事を真っ直ぐに追いかけるからこそ、青春なのだと。

 

そして、青春をこれでもかと突き詰めたのなら、ラブコメというものは不要となる場合もあるのかもしれない。何故なら、恋は良いものであると同時に悪いもの。祝福でもあり呪い。ならば、足かせとなり得るのであれば、恋は不要。

 

 そんな仮説を証明するかのように、全力で青春を過ごしているのがこの作品のメインを勤める、アズマ、アゲハ、ロコの三人である。恋ではなく友情、そして戦友としての固い絆。恋に成り代わり確かな芯があるからこそ、成立しているのである。彼等の絶妙な関係は。

 

時に小学生用のプールで子供達と戯れながらネタを探したり。時に、夏祭りでトラブルに見舞われながらも全力で駆け抜けたり。

 

もうご存じであるかもしれないが、三人ともそれぞれ不器用なのである。自分がいれば問題ないという体質なのである。だが、それじゃ寂しい。一人が寂しいから手を繋ぎ、二人じゃ寂しいから三人で輪になる。

 

 そう、輪である。不器用で不格好に見える三人の関係は、実は余人の入り込めぬ輪なのだ。彼等は、ギンガという惑星の周りを巡る二つの恒星という関係でもあり、それぞれが影響を与え支え合う、三つの連星でもあるのだ。

 

「私を応援してくれる、みんながいてくれたからっ! 私じゃないの、みんなが特別だった!」

 

誰もが皆、誰かにとっての「特別」。そして、特別への愛は僻みすらも巻き込み、輝きへと変え広がっていく。まるで銀河のように。そしてその広がりとつながりは、好敵手と書いて友と読む相手との戦いにおいても特別な力となるのである。

 

正に青春、正に友情。昨今のラブコメ銀河広がるこのラノベ界においては異端、かもしれぬけれどこの輝きは確かに本物だ。だからこそ、この作品の更に増した輝きもまた、銀河のように広がっていくと信じている。

 

青春と友情、熱くて甘酸っぱいアオハルが好きな読者様、前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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